2015/05/18

[第5回] 新しい大学入試制度への期待と懸念 [4/4]

Ⅲ.おわりに

 何れにしても、『高大接続答申』で示された我が国の高大接続、特に大学入試改革の方向性には、大方は賛成するものの、不確定要素が多々あることも否めず、実現可能性に疑問を抱かざるを得ない。これらの不確定要素や疑問を平成32年度までに解消できるのか、関係者の多くが固唾を飲んで見守っている。その状況は、我々が調査を実施した2年前の「総論賛成、各論反対」と今も変わらないように感じるのは、筆者一人だけであろうか。このような不安を解消し、社会一丸となって入試改革を実現するためにも、透明性と説得力のある検討を今後関係組織に期待したい。

【参考文献】

  • 北海道大学(主査 佐々木隆生北海道大学教授(当時)) 「高等学校段階の学力を客観的に把握・活用できる新たな仕組みに関する調査研究 報告書 (文部科学省委託事業)」 2010年.
  • 文部科学省中央教育審議会 「学士課程教育の構築に向けて(答申)」 2008年.
  • 同上 「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について?すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花咲かせるために?(答申)」 2014年.
  • Biggs, John. Teaching for Quality Learning at University 2nd ed., Open University Press, 2003.
  • College Board. Test Specifications for the Redesigned SAT, 2014.
  • Mattern, Krista and others. Broadening the Definition of College and Career Readiness: A Holistic Approach, ACT, 2014.
  • National Association for College Admission Counseling. State of College Admission 2013.