子どもの睡眠時間 生活リズムを見直してみよう

「睡眠」は、成長期の子どもにとって、とても重要です。成長ホルモンの分泌は睡眠中にもっとも多く、「寝る子は育つ」は科学的に実証されています。また、十分な睡眠は、生活リズムを整え、昼間の活動を活発で充実したものにします。

しかし、現代の生活の中で、子どもたちは忙しく、夜更かしになりがち。テレビやスマートフォンなどに夢中で、いつまでたっても子どもが寝ないことにイライラする保護者も多いのではないでしょうか。それでは、子どもたちは実際にどれくらい「睡眠」をとっているのか。東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」から、子どもの睡眠にかかわるデータをご紹介します。

子どもたちは朝何時に起きる?

最初に、子どもたちは朝何時ごろ起きるのかについて見てみましょう。【図1】は、起床時刻を学年別に示したものです。ここからは、中1や高1といった学校段階が変わるタイミングで、早起きになっていることがわかります。部活動の朝練がはじまったり、通学時間が長くなったりして、生活リズムが変わる様子が表れています。一方で、受験の学年である中3は、遅めに起きる子どもが増えるようです。

ここで注目したいのは、そうした学年による違いが、次に見る就寝時刻ほど大きくないこと。起床時刻は学年による変化が小さく、多くの子どもたちが6時半か7時ごろに起きています。

【図1】起床時刻(学年別)

※「6時より前」は「6時より前」「6時ごろ」の回答の合計、「7時30分よりあと」は「7時30分ごろ」「8時ごろ」「8時よりあと」の回答の合計の数値。

子どもたちは夜何時に寝る?

起床時刻と違って、就寝時刻は学年によって大きく異なります。【図2】は、その結果を学年ごとに示しました。変化は一目瞭然。学年が上がるにつれて10時より前に寝る子どもはどんどん減り、12時よりあとに寝る子が増えていきます。子どもたちは成長とともに夜更かしになっていきます。

【図2】就寝時刻(学年別)

※「10時ごろ」は「10時ごろ」「10時30分ごろ」の回答の合計、「11時ごろ」は「11時ごろ」「11時30分ごろ」の回答の合計、「12時よりあと」は「12時ごろ」「12時30分ごろ」「1時ごろ」「1時30分ごろ」「2時ごろ」「2時よりあと」の回答の合計の数値。

では、子どもたちは何時間くらい眠っているの?

朝起きる時刻は学年によって大きな違いがないにもかかわらず、夜寝る時刻は学年が進むにつれて遅くなる。その結果として生まれるのは、上の学年の子どもほど睡眠時間が短いという状況です。
【図3】は、起床時刻と就寝時刻から一人ひとりの睡眠時間を算出して、その平均を学年ごとに示したものです。これを見ると、小学生の睡眠時間は8時間台ですが、中学生は7時間台まで減り、高校生なると6時間台になります。睡眠には個人差があるとはいえ、成長期であることを考えると短いと言わざるを得ない結果です。

【図3】睡眠時間(学年別)

さらに、睡眠時間がどこで短くなるかに注目すると、減少幅が大きいのは小6から中1にかけてと、中3から高1にかけて。やはり学校段階が変わることが睡眠時間を短くする要因になっているようです。この時期は生活が大きく変わる時期。正しいリズムで一日を過ごせているか、生活を見直すとよいかもしれません。

時間は有限であり、あることに費やす時間が増えると、別の時間は減ります。睡眠時間も、他の時間と関係していて、学習時間やメディアの時間が長いと、どうしても短くなりがちです。今の子どもたちは、とても忙しい生活を送っています。そうした状況でも睡眠時間を削らないために、時間をどう有効に使うかのマネジメントが必要です。子どもと一緒に時間がうまく使えているか、どこかに無駄な時間がないかを話し合ってみてはどうでしょうか。

<調査データ>
・東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究
「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」(2016年7~8月実施)
  http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5095

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