2018/07/09
「言語能力育成を考える」③ -CEFRから読み解く言語能力の発達 -
グローバル教育研究室 室長
加藤由美子
加藤由美子
次期学習指導要領では、すべての教科において、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」という3つの柱で資質・能力を育成することが目標となっています。英語教育においては、「何ができるようになるか」を、小中高一貫した「CAN-DOリスト形式」による学習到達目標で設定することが促されています。ここにはCEFRの行動中心アプローチ(action-oriented approach)の考え方が取り入れられているとのことです。このようなCEFRの重要な考え方の解説を交えながら、長沼君主先生(東海大学)が「CEFRから読み解くタスクベースの言語能力発達」というテーマでコラムを執筆してくださいました。ARCLE WEB「言語能力の育成を考えるシリーズ」の第3回、4回です。
CEFRは、Common European Framework of Reference for Languages : Learning, teaching, assessmentの略です。その言語能力の6段階の共通参照レベル(A1~C2)記述は、次期学習指導要領で英語教育の学校段階別目標指針として、また大学入試4技能測定に活用される民間の資格・検定試験のスコアや級との対照表の中で使われています。しかしながら、その名称の通り、CEFRは英語力を評価するためだけのものではなく、多様な言語の学習、指導、評価の指針となるものであり、それを利用する場合には、その根底に流れる言語教育に対する考え方を正しく理解しておくことも大切だと考えられます。
長沼先生のコラムの前編は、CEFRの次期学習指導要領への影響や能力記述尺度に関する考えを、また後編 では、2001年に出版されたCEFRに尺度を付け加える形で改訂されたCEFRの補遺版(*)から新たに見えてくる能力の詳細について述べておられます。前後編を通して、言語タスクの中で「できる」ことだけでなく、「できるようになりつつある」ことを細やかに見取り、必要な足場がけを行い、自己効力感を育みながら言語能力を育成していくことの重要性とともに、発達途上にある学習者への長沼先生のこまやかな心配りや思いが感じられる内容となっています。ぜひ、ご一読ください。
【新企画リレーコラム】言語力育成を考える