2012/11/16
研究会「論述式テストに関する測定・評価研究の展開」
アセスメント研究開発室
開催日
2012年11月16日
会場
ベネッセコーポレーション東京本部(多摩)
内容
応用的な思考力、文章力、表現力、独創性などのキーワードに代表される、受験者のもつ「高次の」能力をいかに多面的に測定・評価するかについては、国内外で以前から高い注目を集めている問題である。日本でも、特に小論文試験に代表されるような、ある程度まとまった文章で回答させる論述式テストと呼ばれるテスト形式の普及が、入学試験や人事試験をはじめとして、近年特に顕著である。
その一方で、論述式テストは、評価の信頼性(採点結果の安定性)・妥当性(テストの得点が、測定を意図した能力の個人差を適切に反映できているか)・バイアス(特定の採点者や受験者・課題内容に対して生じる採点結果の偏り)といった多くの測定論的な課題を抱えるのが常である。そして、測定論上の問題が現実場面においてどの程度深刻であるのか、またどのような解決策が講じられるべきかについての研究や事例報告は極めて不足している。その結果、残念ながら、現実の論述式テストの、測定論的観点から見た際の品質は必ずしも満足いくものではない場合が多い。
このような問題意識から、本発表では、まず先行研究をレビューしながら、実際の論述式テストの測定・評価について、測定論的な意味からどのような問題点があるのかを整理した。その上で、それらの改善のためにどのような工夫ができるのかについて、テストの問題作成・実施・採点・フィードバックの一連のプロセスと対応づけながら、現実場面での実践性を重視して考察を行った。
発表者
宇佐美慧(東京工業大学・日本学術振興会特別研究員PD)