既に進行している!? 大学入学者選抜改革

来春の国公立大学入試で、アドミッション・オフィス(AO)入試を実施する大学が全体の50.3%となり、初めて半数を超えたことが文部科学省の調査でわかりました。
このうち国立で実施するのは56大学で、前年度より3校の増加となっています。数字の上では、ごくわずかの変化にすぎませんが、2021(平成33)年度の大学入学者選抜改革(実施は20<同32>年度中)に向けて国立大学の入試が変わりつつあることを示しているといえそうです。

国立大学でAO入試の定員が急増

調査によると、来春の2018(平成30)年度入試でAO入試を実施するのは、国立大学が56大学192学部(前年度は53大学177学部)、公立大学が29大学48学部(同26大学36学部)となっています。AO入試を実施する大学の割合は、国立大学が68.3%(同64.6%)、公立大学が33.3%(同30.2%)となり、国公立合わせて50.3%(同47.0%)となります。

一方、推薦入試を実施するのは、国立大学が77大学286学部(同76大学・278学部、公立大学が85大学181学部(同84大学172学部)で、推薦入試を実施する大学の割合は、国立大学が93.9%(同92.7%)、公立大学が97.7%(同97.7%)で、国公立大学全体で95.9%(同95.2%)となり、AO入試・推薦入試のいずれも過去最高となります。

この数字だけ見ると、「過去最高といってもほんの少し増えただけ」「大学入試はほとんど変わらない」と思うかたも多いでしょう。しかし、ここで見逃せないのがAO入試の募集定員の変化です。
国公立大学合計のAO入試募集定員は、2010(平成22)年度入試以降、減少または横ばい傾向にありました。ところが、2016(平成28)年度入試で3,529人だった募集定員は、17(同29)年度入試が4,270人に増え、さらに18(同30)年度入試では4,791人と増加します。2年間で35.8%も増える計算です。
特に国立大学の定員増が顕著で、公立大学は横ばいです。また、推薦入試の募集定員に大きな変化は見られません。つまり、国立大学がここ2年間でAO入試の募集定員を急増させているということを意味しています。

2021年度からは「総合型選抜」に

国立大学のAO入試実施校増加と募集定員の急増の背景には、2021(平成33)年度入試から大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」(実施は20<同32>年度)が導入されるなどの大学入学者選抜改革があります。AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」に改められることになっています。知識重視から思考力重視へと大学入試が大きく変わるなかで、「一般選抜」(従来の一般入試)に加えて「総合型選抜」入試が国立大学でも大きな柱になりそうです。
また国立大学協会は、文科省の入学者選抜改革に合わせて、入学定員の3割をAO・推薦入試等に充てるという目標を掲げています。これからもAO入試を実施する国立大学が増えることは確実でしょう。

2018(平成30)年度入試では、実質的な「国際バカロレア入試」ともいえる「国際総合入試」を実施する北海道大学など、AO入試の方法もより多様なものになっています。他大学よりも早く多様な人材を確保する仕組みをつくっておきたいと考える大学の間では、既に大学入試改革は始まっているといってもよさそうです。

(筆者:斎藤剛史)

※平成30年度国公立大学入学者選抜について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1397610.htm

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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