リケジョ(理系女子)が日本を救う!? OECDが進学勧める

日本の子どもの多くが進路を考えるうえで、まず選択を迫られるのが、文系か理系かです。中でも理系を選ぶ女子は、男子に比べて少ないのが現状です。
そんな中、経済協力開発機構(OECD)のアンドレアス・シュライヒャー局長は、日本の女子生徒に対して、理系進学を考えるよう勧めています。どういうことでしょうか。

国際的にも低い「STEM」分野の割合

OECDは毎年、各国の教育政策の参考にしてもらうため「図表でみる教育」と題する報告書をまとめています。先頃公表された2017(平成29)年版では、大学など高等教育の進学・卒業状況に関して、初めて専攻分野別に焦点を当てました。

2015(平成27)年の統計を見ると、日本の高等教育入学者のうち、「工学・製造・建築」は16%(OECD平均は16%)、「自然科学・数学・統計学」は3%(同6%)、「情報通信技術(ICT)」は2%(同5%)でした。

自然科学・技術・工学・数学の分野は「STEM」と総称され、今後の社会・経済発展のために不可欠なものとして、各国で注目を集めています。一方、「科学技術立国」を掲げてきた日本は、工学・製造・建築の分野こそ平均に並ぶものの、自然科学・数学・統計学やICTの分野では出遅れています。

特に統計学やICTは、人工知能(AI)や「モノのインターネット」(IoT)など、今後ますます欠かせなくなる分野です。グローバル化やイノベーション(技術革新)の中で成長戦略を考えるというなら、まず人材育成に力を入れなければならないはずです。

これらの分野について、女子の割合を見ると、工学・製造・建築13%(OECD平均は24%)、自然科学・数学・統計学25%(同50%)、ICT21%(同19%)となっています。ICTを除くと、国際的にもまだまだ低いわけです。特に工学・製造・建築はOECD加盟国中、最低でした。

成績は高いのに志望は少なく

問題は、国際的に見て理系分野への進学率が低いということだけではありません。OECDが実施する「生徒の学習到達度調査」(PISA)で、日本の女子は数学的リテラシーや科学的リテラシーの成績が優秀であるにもかかわらず、女子生徒が理系を志望しないことが問題だというのです。シュライヒャー局長は「日本は女子をSTEM分野に進学させるよう、積極的な措置を取るべきだ」と提言しています。

政府も手をこまねいているわけではありません。2006(平成18)年には、女性研究者を理学系で20%に、工学系で15%にまで増やす数値目標を掲げています。学部まで進学すれば、大学院を修了する割合が高くなるのは、OECD諸国に共通した傾向です。まずは学部進学で女子の割合を上げるのが日本の喫緊の課題であり、その余地も十分あるというわけです。

いま理工系学部を持つ各大学も、「リケジョ」(理系女子)を増加させるべく、女性研究者や先輩学生を通じて熱心にアピールしています。東京大学が女子学生向けに住まい支援を行っているのも、その一環です。

2020(平成32)年度から段階的に実施される新学習指導要領でも、小学校からプログラミング教育を導入するなど、AI時代に対応しようとしています。日本の将来を救うのは、リケジョなのかもしれません。

※図表で見る教育2017
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/benefits-of-university-education-remain-high-but-vary-widely-across-fields-of-study-says-oecd-japanese-version.htm

※PISAの調査結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1344310.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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