「国際バカロレア」活用でグローバル人材の育成を

文部科学省の有識者会議は、世界で活躍するグローバル人材を育成するために、国際バカロレア(IB)を活用することを提言する中間とりまとめを公表しました。
IBとはどういうもので、今後どのような活用がなされていくのでしょうか。

2020年に目標200校…まだ45校

IBは、もともと各国から集まった国連職員などの子どもに、国境を越えた大学入学資格を得させようという発想で、1968(昭和43)年、スイス・ジュネーブにIB機構の本部が創設されました。ただし、資格取得にとどまらず、教育プログラムを通じて、国際社会に貢献できる全人教育を目指しているのが特色です。

大学入学資格の取得を目的としたディプロマ・プログラム(DP)から始まって、日本では中学生に当たるミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)、幼稚園・小学校に当たるプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)など、初等中等教育の各段階にわたってプログラムが広がっています。

日本でのIB認定校は、インターナショナルスクールが中心でしたが、最近では学校教育法に定める「1条校」にも増えてきています。2017(平成29)年4月現在の認定校数は45校(前年度比3校増)で、うち1条校は20校(同2校増)です。認定校をプログラム別に見ると、DPは31校(他に候補校13校)、MYP13校(同7校)、PYP22校(同17校)となっています。

政府は「2020年までに国際バカロレア認定校等を200校以上に増やす」(2016<平成28>年12月の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」)という数値目標を掲げています。しかし、候補校も含めた延べ数にしても、やっと103校という状況ですから、まだまだ力を入れなければいけない状況のようです。

手をこまねいているわけではありません。2013(平成25)年度からは、一部の科目を日本語で実施できる「日本語DP」を導入しました。ただし、日本語DPの導入校は8校にとどまっています。

一方で、37大学がIBを活用した入試を既に行い、12以上の大学が導入の検討を行うなど、国内でもDP取得者への期待が高まっています。

好事例集め海外展開も打ち出す

中間とりまとめでは、IBの理念や教育カリキュラムと、グローバル化対応を進める日本の教育政策の方向性とは、親和性が高いと強調。(1)PYP・MYP・DPの各プログラムを推進し、今後の初等中等教育の好事例の形成を目指す(2)日本語DPを推進し、IBとの相互発展を通じた日本型教育の海外展開を目指す(3)グローバル人材育成施策との連携を強化し、変化する社会に対応した人材育成を実現する(4)国内のIB教員育成等を通じ、持続可能な推進体制を構築する……としています。

具体的には、関係者によるコンソーシアム(共同事業体)を形成したり、情報共有のプラットフォーム(基盤)を構築したりして、導入校への支援を行うとしています。

ただ、認定申請から始まって、認定後の教員研修参加など、かなりの費用が掛かるのも事実です。本気で200校を目指すというなら、教育委員会や学校法人などの設置者に対する予算措置を含めた本格的な支援を検討することも今後、求められるでしょう。

※国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議 中間取りまとめの公表について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/05/1386207.htm

※国際バカロレアについて(文科省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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