「国際バカロレア」認定校を増やすには

「国際バカロレア」(IB)をご存じでしょうか。ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構(IBO)が認定する国際的な教育プログラムのことで、政府は、グローバル人材育成の一環として、IB認定校等を全国で2020(平成32)年までに200校以上にする方針を掲げています。 しかし3月1日現在、候補校を加えても延べ数で100校を超えた程度で、まだ目標には程遠いのが実情です。このため文部科学省は、有識者会議を設置して、拡大に向けた具体策を検討することにしました。

認定校は42校、うち大学入学資格取得31校

IBには、年齢段階などに合わせて、(1)16~19歳対象の「ディプロマ・プログラム」(DP)(2)11~16歳対象の「ミドル・イヤーズ・プログラム」(MYP)(3)3~12歳対象の「プライマリー・イヤーズ・プログラム」(PYP)……の主に3つのプログラムがあります。日本では通常、高校段階に相当するDPをイメージすることが多いようですが、現在の認定校は42校で、このうちDPを導入するのは31校(他に候補校12校)、MYPは11校(同11校)、PYPは21校(同18校)となっています。

日本で普通に高校を卒業しても、海外の大学に進学することができますが、国ごとに学校制度やカリキュラムなどの違いがあり、日本の高校卒業者が大学入学に必要な学力などを持っているかどうか、審査に時間が掛かることもあります。それが国際的に通用するIB資格を取得していれば、簡単に海外の大学に進学することができるようなります。

しかしIB認定校拡大の狙いは、海外留学の推進だけではありません。IBは、教育理念として「多様な文化の理解と尊重」を掲げ、「探求する人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「挑戦する人」などの学習者像を求めています。授業の指導方法も、一方的な講義ではなく、子どもの自主的な探究活動や体験活動を重視しています。

これは、単に知識だけでなく「何ができるようになるのか」「どのように学ぶか」を重視する次期学習指導要領の理念にも合致しています。また、IB取得者のために特別枠を設ける「IB入試」も、既に筑波大学など幾つかの大学で導入されています。

日本の高校教育全体が変わる!?

ただ、IB認定校になるためには、IB機構が決めたカリキュラムを、原則として英語かフランス語、スペイン語で実施することなどの他、教員もIBのための研修を受けることが必要となります。これらの制約が、IB認定校の増えない要因の一つと見られています。

このため文科省は、IB機構と協定を締結して、2013(平成25)年度から一部の科目を日本語で実施できる「日本語DP」を導入したり(現在の実施校8校)、外国人を特別免許状により教員に登用できる制度を設けたりしています。有識者会議では、IB認定校等の200校以上への拡大に向けて、普及の課題を探るとともに、グローバル人材の育成の推進を審議する予定です。

海外留学には興味がないのでIBなんて関係ない……と思っている人も少なくないでしょう。しかし、IB認定校やIB入試が増えれば、その教育理念や指導方法などが他の高校にも波及効果を及ぼし、大学入試のための知識注入型の一方通行授業になりがちな日本の高校教育の在り方を、大きく変えるかもしれないのです。

※国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/03/1382854.htm

※国際バカロレアについて
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/index.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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