学校図書館に学習・情報センターの役割を

次期学習指導要領では、子どもたちが自主的・対話的な学習により、より深く学ぶことを求めています。これに対応して文部科学省は、「学校図書館ガイドライン」を策定し、これからの時代にあった学校図書館の在り方を示しました。学校図書館について、学習センターや情報センターとしての役割を求めているのがポイントです。

アクティブ・ラーニングなどに対応を

アクティブ・ラーニング(AL)の推進など次期学習指導要領では、子どもたちが自主的に、そして協働して学ぶことが重視されています。そのための調べ学習などの場として欠かせないのが、学校図書館(図書室)です。

しかし現状では、蔵書の整備、図書館運営の在り方などが、子どもたちへの読書活動や読書指導の場としての「読書センター」の役割に偏り、子どもたちの学習や協働の場としての機能が不十分なのが実情です。このため文科省は、これからの学校図書館の在り方について協力者会議を設置し、その報告書をもとにして、「学校図書館ガイドライン」を策定しました。

ガイドラインでは、学校図書館について、読書センターの役割に加えて、学習活動の支援や授業の内容を深めるための「学習センター」としての機能、さらに、子どもたちや教職員のニーズに対応したり情報活用能力を育成したりするための「情報センター」としての役割があると明記しています。

具体的には、CDやDVDなどの視聴覚資料や電子メディア、模型など、紙の本だけでなく多様な資料を揃えること、デジタル教材や特別支援教育用の各種教材を整備すること、18歳選挙権に対応して現実社会の課題を公正に判断する力を身に付けるため、複数の新聞を配備することなどを求めています。

また、図書や資料の整備だけでなく、学問などの進展に伴い、「誤った情報を記載していることが明白になった図書」などを適切に廃棄・更新することも必要であるとしています。

学校司書養成のモデルカリキュラムも作成

施設面などでは、調べ学習や探究学習などに対応できる掲示・展示やコーナーの設置などを行う他、グループ学習などの学習活動ができるような施設の整備・改善に努めるよう求めています。また、「一時的に学級になじめない子供の居場所」に学校図書館がなり得ることなどを考慮して、子どもたちの登校から下校までの開館に努めることが望ましいとしている点も注目されます。

ただ、学校図書館の予算は削減傾向が続いており、「学習センター」などの役割を果たせるようにするためには、予算の充実が欠かせません。このため文科省は、ガイドライン策定と同時に、学校図書館の整備充実を各教育委員会などに通知し、蔵書の充実や学校司書の配置とその常勤化などを推進するよう求めました。

この一環として、学校司書については、大学などでの「モデルカリキュラム」を策定しました。将来的にはモデルカリキュラムを履修した人材を学校司書に配置するのが望ましいとしています。

※学校図書館の整備充実について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/1380597.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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