乳幼児の保護者こそ「21世紀型教育」知るべき!?

ブラジル・リオデジャネイロでのオリンピックが閉会し、いよいよ4年後は東京です。ところで、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020(平成32)年は、教育界にとっても「大改革」の年です。「21世紀型教育」といった呼び方をされることもあるほどです。しかし、乳幼児をお持ちの保護者には、まだピンと来ていないようです。「21世紀型教育」とは、どのような教育なのでしょうか。

進められている改革、「知らない」が半数前後

フィルタリングサービスなどを提供しているデジタルアーツは、今年7月、0~6歳の子どもを持つ20~40代の保護者を対象に、「21世紀型教育」に関する意識調査をインターネットで行いました。

2020(平成32)年の前後に起こる変化について尋ねたところ、小学校でプログラミング教育が必修になるのを「知らない」と答えたのは54.5%と半数を超え、「聞いたことはあるが詳細はよくわからない」も33.9%。「よく知っている」は11.6%だけでした。同様に、デジタル教科書の導入も63.2%が、大学入試制度が大きく変わることも65.6%が「知らない」としています。1人1台の学習用タブレット導入が進んでいることは「聞いたことはあるが詳細はよくわからない」が47.5%と半数近くで、「知らない」も36.0%となっています。

こうした教育改革の動向は、小学生以上の保護者なら、学校で説明を受ける機会があるかもしれません。しかし、多くの幼稚園や保育所などでは、まだまだ先の話だと思われているようです。

いま必要性が高まりつつある能力に注目

しかし、考えてみれば、現在の乳幼児のお子さんは大半が、最初から2020(平成32)年度より小学校で全面実施される学習指導要領に基づいて学びます。また、大学入試制度は、2020(平成32)年度のあとも、24(同36)年度から新指導要領に対応した改革という2段構えで行うことが、既に予定されています。そのころまでには、大学入試改革の影響を受けて、高校入試や中学入試も激変していることでしょう。今年度6歳になるお子さんも、2024(平成36)年度には中学2年生です。

そして重要なのは、この教育改革が、幼児期の教育(幼稚園や保育所、家庭などで行われる教育の総称)と、小中高の教育を一貫したものとして「資質・能力」を育成し、それを大学や社会につなげようとしていることです。といっても早期教育ではなく、幼児期に必要な遊びを通じた経験を十分に行ってこそ、小学校からの授業で花開く……という考え方です。

「21世紀型教育」なんて呼ぶと、いかにも難しそうに思えますが、これからの時代に求められる能力・スキルとはどういうものか、よく知っているのは、実は、既に職業生活や社会生活を営んでいる、大人の方々でしょう。調査でも、「21世紀型能力/スキル」と聞いて思い浮かぶものとして、「ITの操作スキル」「創造力」「表現力」「思考力」「想像力」などが挙がっています。

今の社会で必要性がますます高まりそうな能力・スキルを、幼少期から計画的に育み、社会に出た時に活躍できるようにしようというのが、現在進められている教育改革の大きなねらいなのです。

※21世紀型教育に関する0歳から6歳のお子さまを持つ保護者を対象とした認識調査 http://www.daj.jp/company/release/2016/0722_02/

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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