高くなる教育費 子ども2人で年収の4割! ‐渡辺敦司‐

大学受験はもとより、高校に関しても本格的な受験シーズンに突入です。子どもには勉強をがんばってほしいところですが、保護者にとって頭が痛いのは教育費の捻出でしょう。そんな中、大変さを実感させるデータがいくつか発表されています。

文部科学省は2年に一度、学校や学校外の教育にかかる費用を調べる「子供の学習費調査」(2010<平成22>年度までは「子どもの学習費調査」)を実施していて、このほど12(同24)年度の結果がまとまりました。それによると授業料や学校外教育費など1年間の学習費総額は、幼稚園で公立23万100円、私立48万7,427円、小学校で各30万5,807円、142万2,357円、中学校で各45万340円、129万5,156円、高校で各38万6,439円、96万6,816円などとなっています。2年前の前回調査(2010<平成22>年度)に比べると公立はどの校種でもほぼ横ばいで、私立は幼稚園と小学校で減少したものの、中学校と高校では上がっています。私立は幼稚園で公立の2.1倍、小学校で4.7倍、中学校で2.9倍、高校で2.5倍となります。

幼稚園の3歳から高校までの15年間にかかる学習費総額は、すべて公立に通った場合は500万円ですが、高校のみ私立に通った場合は673万円、小学校のみ公立に通った場合(幼・中・高が私立)は1,007万円、すべて私立に通った場合は1,677万円にもなります。中・高校だけ私立にしたとしても927万円ですから、私立中高一貫校に入れようとすると1,000万円前後は覚悟しなければならないということになります。
公立に通えばその分は安く済むわけですが、それでもやり繰りは大変なようです。家庭学習の物品や図書、学習塾費などの「補助学習費」を見ると、公立の場合、小学校が8万7,418円(前回調査比1,769円増)、中学校が22万4,409円(同5,203円減)、高校が12万2,472円(同2,191円減)と中・高校で2年前より減少しており、小学校でも学習塾費が上がる一方で図書などの家庭内学習費を切り詰めている様子が見て取れます。

この調査は高校までですが、その先の大学にはもっとお金がかかることは言うまでもありません。日本政策金融公庫が毎年行っている「教育費負担の実態調査(外部のPDFにリンク)」は「国の教育ローン」を利用している人に限った調査ですが、その2013(平成25)年度結果を見ると、子ども一人当たりの年間在学費用(授業料を含む)は国公立大学で109万7,000円、私立大学で文系149万2,000円、理系177万3,000円。子ども2人世帯の年収に占める在学費用の割合は、平均40.1%。特に年収200万円以上400万円未満の世帯では58.2%(前年度比0.7ポイント増)、400万円以上600万円未満の世帯では37.4%(同2.7ポイント増)と、この所得層の厳しさが増しています。奨学金を受ける割合も59.9%(同3.3ポイント増)に上りました。

文科省の2014(平成26)年度予算案(外部のPDFにリンク)では高校で年収250万円未満程度の世帯向けの「奨学のための給付金」が創設されたり、大学で無利子奨学金の支給対象が拡大されたりしたことは以前の記事で紹介しましたが、さらなる支援策の充実が求められそうです。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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