[習い事入門]ピアノ:続けさせる覚悟できていますか?【前編】

「ピアノが弾けるような子になってほしい」。
保護者が習わせたいものとして人気が高いピアノですが、幼児期に始めても数年でやめてしまう子が多いのもピアノです。練習する・しないで親子でもめて険悪になることもあって、悩み多い習い事のひとつです。
「やめたいと言うのですが、どうしたらいいでしょうか」。
この疑問をどうしたらいいのでしょうか。今回は特にこのことを考えてみました。

ピアノは1対1のきびしいレッスンは減り、リトミック(*)や歌のグループレッスンをしたり、童謡など楽しい曲を練習させたりと、教えるほうも工夫しています。しかし、それでも上達するために練習は必須。そこをどうしたらいいか、神奈川県平塚市で個人教授歴20年の高橋典子さんと、絶対音感を身に付けさせるレッスンで知られる東京豊島区にある一音会の江口寿子さんにお話を伺いました。
(*)リトミック…音楽教育体系。音楽を基盤とした、創造的な人間教育の手段として広い分野で活用される

家庭でのフォローは必要。リビングに音楽が流れていますか?
「通わなくなる子は上達しない子ですね」。
一刀両断したのは高橋さん。うまくならないとおもしろくない。でもうまくなるためには練習が必要。練習しないからレッスンに行きにくくなる。レッスンに行っても練習していないから進まないのでつまらない……こうしてだんだん足が遠のくのです。
じつは取材を申し込んだとき、高橋さんはこう明言されたのです。

「ピアノは通わせればいいというものではありません。家庭のフォローが必要です」。
やっぱりそうだと私も思いました。その覚悟、ありますか?

ピアニスト中村紘子さんは著書でこう書いています。「天才と言われる人々に共通していることは、生まれたときから音楽に囲まれて育っていたこと」と。
じっさいこれまで私が取材した、15歳でジュリアード音楽院に留学して将来を嘱望されている中野翔太さんや、チャイコフスキー国際コンクールで優勝した上原彩子さんも、お母さんは音楽大学卒。生まれたときからクラシックに親しんで育ってきました。

そこでアドバイス。ピアノを始めるなら、ご家庭でクラシックのCDを聴いたり、お母さんやお父さんも弾けるなら弾いてみせてあげたりしてください。家庭に音楽があふれていて家族で楽しむところからスタートです。

上達を励まし、喜んであげて、見守ること
「ピアノのレッスンは子どもとの根くらべです。長い目で励ましてあげてください。たとえ今日練習がイヤと言っても、たまたまその日だけかもしれません。ピアノは弾けるようになると楽しい。だから長く続けることに意味があります」と高橋さん。練習はなだらかには進みません。気乗りしない日もあります。
「でも1週間に1回、レッスンの日だけ弾くのでは上達しません。毎日ピアノに向かうこと。励まして、うまく弾けたら喜んであげて、見守ってあげることが大切です」。

これを楽しめるかどうか。でも追いつめてはかえってマイナス。ピアノ嫌いにしてしまいます。あくまで家族で音楽を楽しむ雰囲気で。
発表会も有効です。目標をもって練習して大勢の前で弾けたら自信につながります。

「以前、いやいや通っているようなお嬢さんがいらしたのですが、お母さんから『試験前など夢中になってピアノを弾いて“スッキリした”と言っている』と聞き、ホッとしたこともあります。そのお嬢さんにとって音楽はとてもいい気分転換なのですね」。
そんなふうに音楽を楽しめるところまで続けるのが目標です。

お父さんを巻き込むと、さらに上達します
高橋さんが教えているやり方はスズキ・メソードです。
「家でレッスン中の曲のCDを聴いて耳で覚えて、楽譜を見て弾けるように指導します。毎日聴いているのでおどろくほどむずかしい曲を弾くことができますね」。
スズキ・メソードは耳で覚えて弾くのが基本ですが、高橋さんは楽譜を読めるように指導しています。楽譜が読めるようになればひとりで音楽を楽しめます。

「お父さんを巻き込むと、さらに上達しますね」。
その日高橋さんのレッスンには5歳の娘と7歳の息子を連れたお父さんが付き添いでやってきました。こんなふうにお父さんが熱心だと上達も早いそうです。家族ぐるみで音楽を楽しみ、子どもが練習していることに関心をもつといいのです。
レッスン室にはピアノが2台並び、まちがえて弾くと、すかさず「聴いてみて」と弾いてみせます。まちがいに気付かせることが大事なのです。

どんな先生がよいのでしょうか
個人レッスンの先生の力量を見分けるポイントのひとつは「発表会」です。きちんとした先生の教室なら子どもも本気で取り組んでいます。しかもそのとき先生ご自身も演奏するので、先生のピアノに対する姿勢や気構えもおのずと伝わります。

さて高橋さんに感心したのは、今もピアノを習っていること。
「演奏会も年2、3回しています。子どもたちにも『先生も練習しているのよ』と話しています。自分も努力していないと教えられません」。
こういう謙虚さとひたむきさがある先生を探してみてください。それには口コミと発表会がもっとも大きな力になります。


【習い事リサーチ】 お子さまがピアノを習い始めたのはいつですか?

プロフィール



NPO法人 孫育て・ニッポン理事長、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。「母親が一人で子育てを担うのではなく、家族、地域、社会で子どもを育てよう」をミッションに、全国にて講演、プロジェクトを行う。東京都北区多世代コミュニティー「いろむすびカフェ」アドバイザー。産後のママをみんなでサポートする「3・3産後サポートプロジェクト」発起人。著書、共著に「ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て」(家の光出版)。

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