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親野先生インタビュー

読書感想文は、単に本を読んだ感想を書くことにとどまりません。本の内容と自分の体験をミックスしながら、自分自身を見つめ直す絶好の機会にもなります。つまり単に本を読んで感想を書くということではなく、精神的な成長に結び付く行為なのです。ですから、自分に光が当たる本を候補に選ぶことが大切です。感想文を書く時期はできるだけ早く夏休みや冬休みなどの長期の休みのときには、休みの前半までに終わらせたいですね。それ以降に始めると、時間がないことで保護者も子どももイライラした状態になり、あまりうまくいきません。

読書感想文の出来は、本選びの善し悪しでほぼ決まってしまいます。しかし、子どもはどういう本が世の中にあるかはわかりません。ですから子どもよりも情報量が多い保護者が、自分の子どもにはどんな本がふさわしいか選んであげたいものです。子どもの興味がわきそうな本を探してあげると、深く読むことができます。たとえば昔、5年生だった私の教え子が、お父さんを事故で亡くしてしまいました。彼のお母さんは思い切って、主人公がお父さんを事故で亡くす物語を選んだんですね。そうしたらとても深く考えた感想文が提出されてきて、私も読んでいて泣いてしまったほど。このことは、つらかった過去を乗り越え、その子にとって自分を見つめ直す貴重な機会になったと思います。

子どもたちの様子を見ていると、読むことは読めるんだけれども書けないというケースが多いです。その場合、叱って書かせるのは避けたいですね。叱れば書けるのかというと、逆にますます書けなくなってしまいます。書けない子には、子どもが感想を述べたら、「それいいね」「お母さん気付かなかった」「深く読んでいるね」と、ほめてあげることが大事なんです。
実際に書く段階になったら、保護者が内容の整理をしてあげることも必要です。感想を話し合ったり、構想メモを作ったりするのがいいと思います。「今思っていることは?」「作者や登場人物にお手紙を書くなら何と書くの?」など、子どもに問いかけながら一緒に整理をしていきます。ノートに内容を書き込んでいくのも整理に役立ちます。子どもから出てくる言葉をつなぎ合わせて、保護者のかたが感想文の内容を口述筆記してあげてもいいですね。

子どもを文章好きにさせるには、まずは保護者が読み聞かせをしてあげること。次に毎日、読書タイムを設けることです。私は教員時代、子どもたちに毎日20分読書をさせていましたが、読書を続けていくと、次第に子どもは読書が面白くなってきます。子どもが読書好きになれば、読書感想文を書くハードルも下がってくるのです。しかも読書を続けている子どもは、すぐにではないものの尻上がりに成績が上がってきます。小学4年生のころはパッとしない成績だった教え子がいましたが、中学3年生のときにグッと伸びたことがあります。そんな事例もあるので、気長に成果を待ちましょう。

以前、タレントで魚類学者の「さかなクン」と対談したことがありますが、彼のお母さんはさかなクンが勉強をしなくても決して怒らなかったそうです。彼が好きなことを自由にやらせていました。魚を見たいと言ったら魚屋にずーっといてもいいよと言っていたそうです。読書感想文も同じように気軽に考えればいいのです。文章を書くことが苦手な子どもに対しては、コンクールで大きな賞を狙うのでなければ、出来ばえよりも期日までに提出するのをゴールとしてもいいのです。何が何でもすばらしいものを書かせようとすると、親子で苦しんでしまい親子関係が悪くなることもあります。苦手な子は、原稿用紙を埋めるだけという感じでもいいのです。