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駐車場からの景色も壮観! 山形の名所『山寺』

天気のいい日に登りたい! 『山寺』とは?

近年注目されているパワースポットは、特にお寺や神社などが多く、こうした神社仏閣を巡りながら「御朱印集め」をしているという人もいるでしょう。

日本全国にある寺社仏閣の中でも、特に体力と気力を必要とするのが『山寺』です。

『山寺』は、正式名称を『宝珠山立石寺』(ほうじゅさんりっしゃくじ)と言います。主に東北地方での仏教の布教に励んでいた円仁(えんにん)こと慈覚大師(じかくだいし)がつくった寺で、大きな岩山にたくさんの御堂が点在しています。駐車場から降りて、そばにある岩山を見上げただけでも圧巻です。

山形を拠点とする武将も信仰しており、特に斯波(最上)兼頼(しば(もがみ)かねより)を祖とする最上家では、寺院建立のための領地を与えたり、荒れた御堂の整備をしたりと、さまざまな援助を行っていました。

『山寺』の中でも特に注目したいのは、『根本中堂』(こんぽんちゅうどう)と『五大堂』(ごだいどう)の2つです。

『根本中堂』は登山口を登ってすぐのところにある御堂です。ブナ材を使った建築物の中では日本最古と言われており、700年ほど前につくられたものとされています。

『根本中堂』には『不滅の法灯(ほうとう)』があります。これは『比叡山延暦寺』(ひえいざんえんりゃくじ)にあるものと同じで、もともと『比叡山』から『山寺』に分けられたものです。その後、『延暦寺』が織田信長(おだのぶなが)による焼き討ちにあった際に、『山寺』にある灯を今度は『延暦寺』に分けたと言われています。

『五大堂』は、『慈覚大師』の御堂である『開山堂』の上に位置する御堂です。『五大明王』(不動・降三世(ごうざんぜ)・軍荼利(ぐんだり)・大威徳(だいいとく)・金剛夜叉(こんごうやしゃ))をまつっており、天下泰平を願うための場所としてつくられました。

また、『五大堂』の手すりの向こうには門前町と自然豊かな山々が広がります。非常に高い位置にあるため、登るのは大変ですが、よく晴れた日に見える景色は一見の価値ありです。

また、『山寺』は松尾芭蕉(まつおばしょう)が訪れたことでも有名です。「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」の句は、俳句をよく知らない人でも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

この句は、松尾芭蕉が蝉の声しか聞こえないこの地の静けさに感動して詠んだものです。『山寺』の神秘的な雰囲気が伝わります。

階段の多さが教える「一歩ずつでも進むこと」

『山寺』と言えば、長い階段が有名です。前述した『五大堂』は『山寺』の展望台とも言える場所で、そこに行くためには800段もある石段をひたすら上がっていかなければなりません。

『五大堂』だけでなく『奥の院』や『大仏殿』など、ほとんどの御堂が階段を上がらなければ辿りつけない場所にあります。

これは『山寺』そのものが、極楽浄土への道を表しているからだと言われています。

『山門』を通って階段をしばらく上がると、『姥堂』(うばどう)という御堂があります。ここは極楽浄土への入口とされており、三途の川の監視人とされている『奪衣婆』(だつえば)の像が置いてあります。ここから下は地獄、ここから上が極楽浄土という意味です。

ここで身を清めて極楽浄土へ一歩一歩上がっていくことで、けがれが浄化され正しい人間になっていくと言われています。

少しずつでも上に登っていけば、最終的に本尊に辿りつき、極楽浄土へ行くことができます。

世の中には不平等だと思うことや、うまくいかないことがたくさんあります。しかし、立ち止まって引き返してしまったら、それ以上進むことはできません。最終的な目標に辿りつくためには『山寺』の階段と同じように、一歩一歩、少しずつでも進んでいくことです。

少しずつでも進んでいれば、時間はかかっても目標に辿りつけます。目標に辿りついた暁には、きっと『五大堂』から見るような、素晴らしい景色が待っているでしょう。

『山寺駅』も素敵! 『山寺』へ行ってみましょう

『山寺』は山形県山形市にあります。周辺には参拝客のための食事処や宿泊施設が集まって、門前町をつくり上げています。
『山寺』から歩いて7分ほどのところにある『山寺駅』も、風情を感じさせる場所です。こちらは「東北の駅100選」に選ばれています。

アクセスマップ

名 称:宝珠山立石寺
休 日:無休
料 金:大人・高校生300円、中学生200円、小学生・4歳以上の幼児100円
住 所:山形県山形市山寺4456-1
電 話:023-695-2843
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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