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日本一高い石垣を誇る、讃岐の国の美しき城『丸亀城』

『丸亀城』の景観から歴史背景を学ぶ

『丸亀城』(まるがめじょう)は、別名・『亀山城』(かめやまじょう)や『蓬莱城』(ほうらいじょう)とも呼ばれ、讃岐国(さぬきのくに)、現在の香川県丸亀市に建てられた城です。
丸亀市街の南方にある、標高66mの亀山に築かれた『平山城』(ひらやまじろ)で、日本一高い総高約60mの石垣は、とても美しいことで有名です。

『扇の勾配』と呼ばれ、独特な曲線美を見せる三の丸北側の高石垣は、見る人を魅了します。
『丸亀城』の本丸には江戸時代に建てられた、三重構造の天守があり、現在まで保存されている数少ない現存天守(げんそんてんしゅ)のひとつです。
城跡全域(内堀以内)が国の史跡指定とされ『亀山公園』となっています。天守閣のほか、大手一の門、大手二の門が国の重要文化財に指定されています。

『丸亀城』の誕生の歴史は、室町時代の管領・細川頼之(ほそかわよりゆき)の重臣の奈良元安(ならもとやす)が亀山に砦を築いたことから始まりました。安土桃山時代に豊臣秀吉(とよとみひでよし)より讃岐国17万石を与えられた家臣・生駒親正(いこまちかまさ)の手により、1597年、本城『高松城』の支城として築城が行われました。1641年、肥後国富岡(現・熊本県天草郡苓北町)の山崎家治(やまざきいえはる)が領主となり丸亀藩(現・香川県西部)が立藩、現在も見られる美しい高石垣が作られました。

1658年(万治元年)山崎家治の後、明治時代まで『丸亀城』城主となる京極高和(きょうごくたかかず)が丸亀藩主となり、1660年に天守閣を完成させます。

石垣伝説から学ぶ悲哀の歴史

長い時間を経ても、美しい姿をみせる『丸亀城』ですが、築城の歴史には悲しい伝説があります。石垣にまつわる『裸重三・羽坂重三郎』(はさかじゅうざぶろう)と築城における『人柱伝説』です。

石垣完成の功労者である羽坂重三郎は、仕事に取り組む時には、裸になり熱心に仕事をすることから『裸重三』と呼ばれていました。「重三の築いた石垣だけあって見事。これだけ見事ならば、この城壁を乗り越える者はあるまい」と称賛する声に、「ありがたき言葉ですが、私に尺余りの鉄棒をくだされば、容易に登ってみせます」と羽坂重三郎は言い、やすやすと城壁を登ってしまいました。
これを見た城主は、羽坂重三郎が敵と通じた場合を恐れ、いつわりの井戸の調査を命じて井戸に入ったとき埋め殺してしまいました。この、いつわりの調査を命じられた井戸が『二の丸井戸』です。

『人柱伝説』とは、築城工事が難航しているため、人柱をたてることになった時の話です。
雨の降る夕暮れのこと、築城場所の近くを通りかかった一人の豆腐売りを、無理矢理に捕らえて人柱として埋めてしまいました。それ以来、雨の降る夜には「とーふー、とーふー」と犠牲になった豆腐売りの声が聞こえると言われています。

このように、当時の技術の粋を集めた築城話の中には、石垣の安全や秘密を守るため、城を築くためには人命すら犠牲にしたという伝説が多く存在します。

それだけ築城には多くの人が携わり、さまざまな困難があったことを物語っています。
悲しい話ではありますが、『丸亀城』にまつわる伝説を知っておくことも、歴史を学ぶ醍醐味のひとつでしょう。そういった悲しみを乗り越えて出来上がった城だからこそ、しっかりとした石垣がそびえたち、その歴史の重みを伝えてくれているのかもしれません。

歴史を学ぶ時に表の華やかな面だけでなく、裏にある陰の部分も押さえるようにしたいものです。

観光名所『丸亀城』の桜を見に行ってみましょう

歴史の時間の流れを物語る『丸亀城』は、桜の名所観光スポットとしても有名です。
また、『丸亀城』周辺には名物の讃岐うどんのお店も多くあり、それぞれのお店の味を堪能するのも、訪れた際の楽しみのひとつでもあります。

アクセスマップ

名 称:丸亀城
時 間:天守見学は9時00分~16時30分(入城受付は16時00分まで)
大手一の門見学は9時30分~16時00分
休 日:天守はなし(施設点検や資料入れ替えのため臨時休城する場合があります。)
大手一の門は雨天時
大手一の門を見学ご希望の際は、城内観光案内所の係員に声をかけてください。
料 金:(天守のみ)大人 200円・ 小人(小・中学生) 100円
団体(20人以上)1人につき上記の金額の2割引の額
※丸亀市に住所を有する65歳以上の方。心身障がい者(児)とその介護者の方は、無料対象となりますので、確認できるもの(手帳など)をご用意ください。
住 所:香川県丸亀市一番丁
電 話:0877-22-0331(丸亀市観光協会)
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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