土佐藩の中枢！　高知県の名城『高知城』

皆さんは『一国一城令』を知っていますか？　これは「大名は居城をひとつ残して、他は破却すること」という法律で、徳川家康（とくがわいえやす）が立案、徳川秀忠（とくがわひでただ）が発令しました。

戦国時代、大名は領国を守るためにたくさんの城を築きました。しかし徳川家康は大名の軍事力を弱め徳川氏の全国支配を強化するために、城を減らそうと考えました。これによってもともと3,000近くあった城は、170ほどにまで激減しました。

その後も、廃藩や空襲などがありましたが、そんな危機を乗り切り、当時のまま残る城の一つが『高知城』です。

『高知城』のある大高坂山（おおたかさかやま）には、南北朝時代、『大高坂山城』と呼ばれる城が築かれていました。江戸時代になり、山内一豊（やまのうちかずとよ）が『高知城』を築城しましたが、江戸時代半ばに起こった火災で、創建当時のほとんどの建物が燃えてしまい、現在建てられているものはその後再建されたものです。

日本の城の多くは、天守は当時のまま残っていても、城主が暮らしていた『本丸御殿』などがそのまま残っている城はあまりありません。『高知城』はその『本丸御殿』をはじめ、本丸にある建物が1747～1753年の江戸時代に再建された姿のまま残っている『南海道随一の名城』として知られており、非常に貴重なお城です。

明治時代を迎えて『廃城令』が出されるまで、『高知城』は土佐藩（現在の高知県）の中枢として高知を支えてきました。

築城から400年、再建から250年が経過し、当時の建築技術をそのまま伝える『南海随一の名城』として、現在では地元民や観光客に親しまれています。

『高知城』は再建から250年が経過しています。前述したように天守は昔の形のまま現存しているものがありますが、『本丸御殿』などがそのまま残っている城は少なく、本丸の中の建物が250年経過しても全て残っている城は『高知城』だけです。

『高知城』の特徴として、高知県は非常に雨が多い土地柄のため、ほかの城には見られない石樋（いしどい）が造られています。

石樋は石垣の中に泥水が入り込んで、石垣をもろくしないよう、1箇所に水を溜めて排水するためのものです。また排水するだけではなく、簡単に掃除ができるように工夫されています。
これは山内一族の「構造を読む力」や「創造力」、「技術力」が優れていた故の造りであり、『高知城』が長いあいだ変わらぬ姿で残っている理由です。

また幕末に城主だった山内容堂（やまのうちようどう）は、幕府の終わりが近いことを見極め、坂本龍馬（竜馬・さかもとりょうま）の考えた『船中八策』（せんちゅうはっさく・明治政府の基本方針『五箇条の御誓文』に影響を与えたとされる）を徳川慶喜（とくがわよしのぶ）に申し出ました。こうしたことも作用して、徳川慶喜は政権を天皇に返上する『大政奉還』を行い、武家による時代は幕を下ろします。

これは山内容堂の「時代を読む力」があった故でしょう。
『高知城』が250年経過しても、そのまま残されている理由は、城主による「読む力」と「創造力」、それを基礎とした多くの力が、さまざまな場面で発揮されているためではないでしょうか。

『高知城』のように長年残るものを造りたいと思うなら、「読む力」も身に付けるようにしましょう。

『高知城』は高知県高知市にあります。『高知城』の周辺は公園として整備されており、城といえば定番の桜のほか、梅や紫陽花、椿など季節の花々で彩られます。春には生花などで城の各所を飾る「花回廊」、季節ごとに「お城まつり」など、さまざまな姿で訪れる人を楽しませてくれます。