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桜が美しい兵庫の観光名所『姫路城』の基礎知識

名だたる城主が治めた『姫路城』

昔、日本には多くの城がありました。現在でもいくつかの城は残っていますが、石垣だけだったり、再建された天守だったりと、当時の姿をそのまま残すものは少ないです。

城の多くは安土桃山時代から江戸時代にかけて作られたもので、「天守」と呼ばれる城の権威の象徴を備えています。城はその地域のシンボルであると同時に、その地域を治める領主の家でもありました。現在でも国宝として5つの城が登録されています。

その中でも特に美しいことで有名なのが、兵庫県にある『姫路城』です。『姫路城』は『白鷺城』(しらさぎじょう)とも呼ばれ、白くて美しい天守が印象的です。

『姫路城』の基礎となったのは赤松則村(あかまつのりむら)が築いた砦で、その後も黒田官兵衛(くろだかんべえ)、羽柴秀吉(はひばひでよし・のちの豊臣秀吉(とよとみひでよし))や、池田輝政(いけだてるまさ)といった名だたる武将たちがここを拠点にしています。池田輝政の時代に大改築が行われ、ほぼ現在の姿になりました。

近畿方面から中国や九州に抜けるための要所だったため、『姫路城』は武将たちにとってとても重要な場所でした。有名な豊臣秀吉の「中国大返し」のときにも、ここが拠点にされています。

『姫路城』の城主になった人物は、13氏48人でした。

これほど重要な拠点であったにもかかわらず、『姫路城』は戦にはほとんど巻き込まれませんでした。そのため築城から400年経った今でも、当時の木造建築のままの姿を保っています。

400年経過した今でも残る木造建築の技術が日本でも最高峰であることや、日本の城の構造をよく残していることから、平成5年に奈良の『法隆寺』とともに日本で初めての世界遺産に登録されました。

また桜の名所としても知られており、毎年桜の時期になると多くの観光客や地元の人が訪れます。

『姫路城』の400年の時間は人によって守られた

皆さんは、一般的な木造住宅の寿命がどのくらいかご存じですか?

一般的な木造住宅の寿命はおよそ30年から80年ほどと言われています。『姫路城』の400年という年数がいかにすごいかがよくわかります。

しかし、『姫路城』は何もしないで400年前の姿を留めてきたわけではありません。そこには多くの人々の「姫路城を守ろう」とする努力がありました。

幕末の戊辰戦争(ぼしんせんそう)の際には、私財を投げ打って『姫路城』への攻撃を止めた人がいました。明治時代には人々の陳情によって改修作業が行われました。太平洋戦争中には、『姫路城』が攻撃されないよう、黒い布を使って城を隠しました。第二次世界大戦後には、豪雨で壊れた櫓(やぐら)や石垣を修繕するための大修理が行われました。

『姫路城』は、別名「不戦の城」とも呼ばれています。『姫路城』は重要な拠点であったにもかかわらず、戦の舞台になりませんでした。第二次世界大戦中も空襲で姫路市内が焼け野原となる中、『姫路城』に落ちた弾は偶然にも不発弾で、大きな損害は免れました。

このように人々が常に『姫路城』を守ろうとして努力をしてきた結果、400年経過した今でも、『姫路城』は当時の姿を留めています。こうしたことも『姫路城』を愛する人たちの、見えない力が働いたのかもしれませんね。

なにも手を付けずに放っておいたら、今頃『姫路城』は変わり果てた姿になっていたことでしょう。人々の努力によって守られてきた『姫路城』は「愛するものを長く守っていくには、人の手を加えることが大切」ということを教えてくれます。

自分の周りの大切な人や物にもきちんと目を向けて、日々手をかけて守っていきたいものです。

白鷺のような美しい城を見に行ってみましょう

『姫路城』は兵庫県姫路市にあります。姫山と鷲山(わしやま)と呼ばれる2つの山に築かれた平山城(ひらやまじろ)で、大きな天守とそれに連なる小天守を抱えています。また、多くの門があることでも有名です。

前述したように『姫路城』は『白鷺城』とも呼ばれます。名前の由来は諸説ありますが、白鷺のように美しい姿を見れば、きっとこの名前にも納得するでしょう。春に咲き乱れる桜と大天守のコラボレーションは必見です。

多くの人々が守り、そしてこれからも守っていく『姫路城』。人々が「守りたい」と思ってきた白亜の美しさを、ぜひ行って体感してください。

アクセスマップ

名 称:姫路城
時 間:9時00分~16時00分(閉門は17時00分)
※4月27日~8月31日は9時00分~17時00分(閉門は18時)
休 日:12月29日・30日
料 金:大人(18歳以上)1000円・小人(小中高生)300円
住 所:姫路市本町68番地
電 話:079-285-1146
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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