全国の『稲荷神社』の総本宮、京都『伏見稲荷大社』の見どころ

『稲荷神』をまつった『稲荷神社』は、全国に約30,000社あると言われています。単純計算すると各都道府県に平均600社以上になります。
ご自宅近くに『稲荷神社』があるかたもいらっしゃるかもしれません。『稲荷神社』は『お稲荷（いなり）さん』とも呼ばれており、とても身近な神社として親しまれています。

数多く存在する『稲荷神社』の総本宮こそが、京都にある『伏見稲荷大社』です。

祭神である『稲荷大神』が『稲荷山三ケ峰』に鎮座したのが711年のことです。実に1300年以上の長い歴史がありますが、「五穀豊穣」（ごこくほうじょう）、「商売繁昌」（しょうばいはんじょう）、「家内安全」（かないあんぜん）、「諸願成就」（しょがんじょうじゅ）の神として全国で親しまれている稲荷信仰の原点がここにあります。

しかし、1468年3月、『伏見稲荷大社』はかつてないほどの戦禍に巻き込まれ、甚大な被害を受けました。前年に始まった『応仁の乱』の巻き添えをくらう形で、『伏見稲荷大社』の建物は全てを焼き尽くされてしまいました。

それから約30年後の1499年には本殿などが再興され、また身近な神社として親しまれていくようになりました。

大変な苦難を乗り越え、今の『伏見稲荷大社』の姿があることを知れば、その荘厳な姿を目にした際の感慨深さもひとしおではないでしょうか。

『伏見稲荷大社』で、多くの観光客をその神秘的な美しさで驚かせているのが『千本鳥居』でしょう。

本殿裏手の奥宮から奥社にかけての参道に立ち並ぶ鳥居は、まるで朱色のトンネルのように延々と列をなしています。

『千本鳥居』と呼ばれていますが、お山全体の鳥居の数はおよそ一万基になります。
稲荷の鳥居は社殿と同じ朱色に彩色されているのですが、その鮮やかな色味は「生命、大地、生産」といった力をもって『稲荷大神』の「みたま」の働きとする強烈な信仰が宿っているのだと言われています。

このおよそ一万基におよぶ鳥居の数々は、信仰している人々によって奉納されたものです。

各鳥居に奉納者の名前が刻まれているのをご存じでしょうか？

人々が祈りと感謝を込めて鳥居を奉納するという信仰は江戸時代に興ったと言われており、その結果、現在ではおよそ一万基におよぶ鳥居が立ち並ぶ名所となりました。

ちなみに、鳥居の奉納を希望する場合は、同大社の『社務所』から申し込みができます。

奉納する場所によって初穂料（はつほりょう、この場合は鳥居を奉納するための金額）は異なりますが、一番小さい5号の鳥居であれば17万5,000円で奉納できます。鳥居が大きくなるにつれ初穂料は上がり、10号であれば130万2,000円～となるそうです。

実際に鳥居を奉納せずとも、こうした形で神社の歴史に関わることもできるということをお子さまにも教えてあげれば、それをきっかけに教科書に載っている歴史上の出来事も全て現代に繋がっていると実感してくれるかもしれません。そして、先人がいるからこそ、今の自分が存在しているということも学べるのではないでしょうか。

『稲荷神社』の総本宮『伏見稲荷大社』は、711年に鎮座しました。約4kmにもおよぶ『稲荷山』の神蹟（かつて祠だった所）を巡拝する『お山巡り』や、本殿裏手にある『千本鳥居』などが有名です。4月下旬から約2週間に及ぶ『稲荷祭』は、平安朝からの伝統である大社最重要の祭儀で、期間中は多くの人々でにぎわいます。