1998/04/02

「中学生のもつ『場』における意欲」研究報告書 —ネットワーク化社会の動機づけ—

報告書の概要

中学生のもつ『場』における意欲」研究の全体構想
本研究は、上記のテーマに基づき、3人の研究者がそれぞれの視点からアプローチをした。

テーマ設定の背景

中学校は様々な変革を求められている。間近にせまった学校完全週5日制の実施や学習指導要領の改訂、個性重視の指導への移行など、指導内容の質的見直しが必要となっている。
また、学歴信仰が崩れつつある現在、「高校入試」のハードルだけでは学習の動機づけにならなくなることが予想され、それに代わる新しい動機づけが必要になってくる。
さらに、「中学生」という時期は、周囲の人間関係が拡大し、自分以外の「他者」から受ける影響も大きくなる。学習活動を含めた彼らの行動は、「他者」との関係性の中で生み出され、その中で、意欲も形成されると考えられる。
このような状況下、中学校は「学校」という集団指導を前提とした枠組みの中で、中学生一人ひとりが個性を発揮し、意欲的に活動できる環境をいかにつくるかが問われている。

研究対象

中学生、中学生を中心とした若者全般

テーマ

研究3<場の社会史からみた動機づけのメカニズムの研究>
若者がもつ人間関係を中心とした「場」がどのような機能を果たしてきたのかを歴史的に振り返り、それを前提に、今後中学生が意欲的になれる生活空間の条件について探る。
●文献を中心とした研究+質的調査
(中学生への質問紙調査、グループインタビュー)
・・・社会学的視点からのアプローチ
ライズコーポレーション代表取締役 岩間夏樹

調査報告書の目次・詳細

「中学生のもつ『場』における意欲」研究の全体構想・刊行にあたって
中表紙・研究対象・テーマ
第一章 「場」の社会史
1. 「場」の概念
2. 忽村社会の成立と勤勉革命
3. 「場」という生活空間の変化
4. 「タテ社会」以後の日本社会
第二章 青少年の生活空間の社会史
1.元禄・享保体制時代
2.近代的教育システム以後
3.学校改革運動
4.産業構造の変化と学校文化
第三章 「場」の機能
1. 「場」が我々にもたらしたもの
2. 「場」の解体の予感
3. <世間>から<市場>へ
4. <市場>育ち世代の動機づけのメカニズム
5. <世間>なき時代の孤独
第四章 「場」をめぐる現状
1. 家庭
2. 学校
3. 地域社会
4. 居場所がないという思い
5. まとめ-子どもの生活空間のあるべき姿
第五章 調査の記録
1. はじめに
2. 学校の状況
3. 学校外の生活
4. 親子関係・家庭生活
5. ポジティブ・ネガティブな動機づけ
第六章 中学生たちのおかれた状況
1. はじめに
2. 中学校という特殊な空間
3. 発達過程の中の中学校
4. 我々が迎えた分岐点
5. 「連」的関係の教育環境のイメージ
6. 動機形成から見た教育環境