中学受験をしない小6生が中学入学までにやっておくべきこと(2)【国語編】

中学校に入ると、勉強の内容が難しくなったり、部活動が忙しくなったりして、学習についていけなくなるお子さまが多くなります。また、小学校での学習の取りこぼしがあるために、中学校での学習がスムーズにいかなくなってしまうことがあります。小学校と中学校で、学習内容がそれほど大きく変わらないようにみえる国語においても、つまずきの声を聞くことがあります。今回は、国語をテーマに、中学入学までに準備しておきたいことをお伝えします。

この記事のポイント

文章を読むために、漢字の「読み」をマスターする

小学校も中学校も、国語の基本は文章を読んで、その内容を答えることです。そして、文章を読むためには、文章に出てくる漢字を正しく読める必要があります。そのため、中学校に入学する前に、小学校で学習した漢字を読めるようにしておくことは、中学の読解で求められる最低ラインとなります。

なお高校入試でも国語の漢字は頻出事項で、例えば東京都であれば100点中20点を占めています。そのため小学校の復習が3年後の高校入試への準備にもなります。

一般的に漢字を学習するとなるとパッと思いつくのは、漢字ドリルのようなものかもしれませんが、必ずしもドリルのようなものをやる必要はありません。お手元にある教科書を開いていただき、今まで学習した文章をお子さまに読ませてみてください。できれば音読するようにすると効果的です。読んでいる途中で言葉がつっかえてしまったり、読めない漢字があったりすれば、反復させてすらすらと読めるようにしましょう。

教科書を読ませることは、これまで学習したことなので少ない負担で学習の到達度を確認できますし、授業で学習した内容の復習にもなります。また、文章を使って漢字を覚えると、漢字単体で覚えるよりも記憶に残りやすくなります。ですので、ぜひとも中学校入学前に、教科書を使った音読で、漢字の「読み」を確認しておきましょう。

  • ・漢字の「読み」を確認するために、教科書を読む。
  • ・文章の中で漢字を覚える。

記述問題を解くために、短文を書けるようにする

特に国語が苦手なお子さまは、記述問題が解けない、何を書いていいのかわからないなど、記述問題に対するアレルギーがあるのではないでしょうか。小学校とは異なり、中学校では記述する文字数も増えますし、文章の内容をまとめるといった自分で考えて書かなければならない問題も多く出題されます。公立高校の入試では作文を課しているところもあり、例えば東京都では200字以内の作文が例年出題されています。

このようなことから、中学校に入学する前に書くことへの負担感を減らしておくことが重要です。それほど長い文章でなくてもいいので、日記のように今日あったことをまとめたり、自分が思ったことを簡単に書きとめたりすることを、お子さまに促してみてください。

ここではあくまで何を書いたらいいのかわからない状況を打破するものなので、書き方は箇条書きのようになってしまってもかまいません。こだわりたいポイントは、書き方よりも「量」。お子さまが書いた内容は、可能でしたらおうちのかたが見てあげてください。
もし漢字が間違っていたり、文法的におかしかったりする場合はお子さまに教えてあげて、書いた内容の精度を上げることができるとよいでしょう。

  • ・書くことへのアレルギーをなくすために、短文を書く練習をする。
  • ・短文の中で漢字や文法的な誤りを発見する。

自分の意見を述べるために、コミュニケーションを大切にする

中学校では、小学校に比べると高度なテーマについての話し合いがあったり、クラスのみんなに向けて発表したりと、人前で自分の意見を述べる機会が多くなります。また、職場体験や高校受験の面接などで、普段あまり話す機会のない大人と話さなければならないことも。そのため、小学校のときよりも論理的に話すことや、TPOに合わせた話し方が求められます。

中学校に入学するまでにやっておきたいことは、論理的に考えて自分の意見を言えるようにする、ということです。そのために、日ごろのコミュニケーションをうまく活用していきましょう。お子さまと会話するときには、おうちのかたがよい聞き手となり、お子さまの意見に対して、「なぜ?」や「どうして?」といったように理由を聞いてあげるとよいでしょう。そうすることで、お子さまは自分の意見について理由を考えてから話すようになります。

理由を尋ねる以外にも、「どのようなところが…?」と具体的な内容を聞いたり、「どこに違いがあるの?」と他のものと比べさせるように聞いたりしてあげるとよいでしょう。対話の中で問いかけることによって、お子さまの考えは深まっていきますし、それを発話することが自分の意見を論理的に述べる訓練となります。このことを日常の中で少しずつ練習することで、論理的に話すことへの壁がなくなっていくでしょう。

  • ・中学校入学までに論理的に話す練習をする。
  • ・日常の会話の中で、「なぜ?」「どうして?」と聞いてあげる。

まとめ & 実践 TIPS

国語では、小学校で学習した内容を積み上げたものが中学校の内容になります。ですので、小学校の内容を復習することはもちろんのことですが、国語を学習する構えをつくったり、学習意欲を損なわないようしたりすることも大切になってきます。国語で求められている読み書き、話す聞くといった能力を小学校の段階で身に付けて、中学校では国語を得意な科目にできるとよいでしょう。

株式会社プランディット 国語課 宮城(みやぎ)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの国語の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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