小学校プログラミング教育の「必修化」って?

4月から小学校で、新しい学習指導要領が全面実施となります。目玉の一つが、プログラミング教育の必修化です。ただ、一部の自治体では「準備に遅れ」があるとも報道されています。どう考えればいいのでしょうか。

未整備の自治体はあるけれど…

報道は、文部科学省が11月1日時点で、公立小学校を設置する市町村教育委員会を対象に実施した調査結果を基にしたものです。

新しい課題であるプログラミング教育を実施するためには、各学校で先生が1人以上、実践的な研修を受けたり、校内で授業の実践や模擬授業を行ったりする必要があります。しかし、そうしたことを行っておらず、3月(2019年度末)までの実施予定もないと回答した教委が、この段階で6.5%ありました。文科省は、「最低限必要と考えられる指導体制の基礎が整っていない」とみています。さらに、都道府県ごとの集計値を比較したところ、実施率が100%から73.7%までと、「都道府県間でばらつきが見られる」といいます。

こうした結果を基に、「準備に遅れ」「体制整わず」といった報道があったわけです。結果を受けて、文科省では(1)指導体制の基礎が整っていない自治体にヒアリングを行い、より詳しい状況を確認する(2)必要に応じて、セミナー開催や、教員研修用教材などを提供する(3)引き続き必要な情報提供などを実施する……としています。

ただ、それほど不安に思わなくていいかもしれません。

実施する学年や教科の指定なし

というのも、プログラミング教育は、4月から一斉に行わなければいけない、というものではないからです。

新学習指導要領(17年3月告示)では、情報活用能力を育成する一環として、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」(総則)を行うよう規定しています。その上で、算数や理科、総合的な学習の時間で実施する場合の注意点を示しています。

ただし、どの学年で、あるいは、どの教科で実施すべきだとは、書いてありません。中学校以降の本格的なプログラミング教育に備えて、まずは体験して、そのよさを知ることから始めよう、という位置付けだからです。

文科省の有識者会議が16年6月にまとめた報告でも、プログラミング教育は「将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての『プログラミング的思考』などを育むことであり、コーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)を覚えることが目的ではない」と注意を促しています。

また、「実施に当たっては、ICT(情報通信技術)環境の整備や指導体制の確保等の条件整備が不可欠」とも指摘していますが、一方で、コンピューターを使わずに、紙と鉛筆で行う「アンプラグド」もあるとしています。

ICTの整備に関しては、文科省が「GIGAスクール構想」を打ち出し、全国で1人1台環境を整備しようとしているところです。そうした状況も踏まえつつ、各学校でプログラミング教育を授業のどこかで行うよう、計画的に実施していくことが期待されます。

(筆者:渡辺敦司)

※プログラミング教育(文科省ホームページ)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1375607.htm

※市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況等調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00218.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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