どうなる?オリンピック・イヤーの入園・入学費用

入園・入学シーズンまであと半年。新生活が始まるお子さまのご家庭では、準備を具体的に進めていく時期ですね。消費税増税とともに実施される幼児教育無償化で、負担は軽減されるのかも気になります。
そこで今回は、幼稚園等への入園・小学校入学にかかる教育費について、確認しておきましょう。

3歳から5歳の幼児教育・保育の無償化がスタート

ご存知の通り、幼稚園・保育園・認定こども園等の3歳~5歳児クラスの利用料が、10月より無償化されます。幼稚園では月額2.57万円を上限として、認可外保育施設については月額3.7万円を上限として保護者の負担が軽減されるというものです。

例えば、保育の必要性が認定されて幼稚園と幼稚園の預かり保育を利用している子どもの場合は、幼稚園の保育料無償化上限額(月2.57万円)を含め、月3.7万円までが無償化されます。とは言え、保育料が無料になっても、通園送迎費(園バスなど)・食材料費・行事費等は、これまで通り保護者の負担です(ただし、食材料費は条件により免除されるなどの場合があります)。

保育園・認可外保育施設でかかる費用

認可保育園等の場合、自治体が定めた基準や保護者の所得により、保育料は異なります。下表は、保護者が負担する月額保育料の平均額で、月額2万円余りでした(3歳未満含む)。3歳~5歳児(と非課税世帯の0~2歳児)クラスについてはこの部分が10月から、来年4月入園の3歳~5歳児は入園当初より無償化により軽減されます。

認可外保育施設を利用する3歳児の平均利用額は以下の通りで、認可保育園等に比べ高額になっています。月3.7万円までが無償化されるとしても、事業所内保育施設が利用できなければ、上限を超えて自己負担が発生する可能性があります。

入園と幼稚園でかかる費用

2016年度「子どもの学習費調査」(文部科学省)によると、3歳児の園生活にかかる教育費は、公立で年間およそ12.7万円、私立36.9万円となっています。
この中の通園送迎費(園バスなど)・食材料費・行事費等は従来通り保護者負担となるため、無償化になるのは、授業料相当額と考えられます。

入園準備品については、園によっては指定の業者から購入するものもあるなど、かかる費用や金額は異なります。中でも制服は、冬服と夏服・通園カバン・帽子・体操服・上履き・水着・エプロンなどが必要になる場合も。園で使うコップなどの生活雑貨や服・小物を入れる袋などを準備するケースもあるので、説明会等でよく確認しておきましょう。

また、お稽古ごとなどの学校(園)外活動費に年間6~8万円が支出され、負担は少なくありません。子どものために有意義な使い方を家族で話し合ってみるのもひとつです。

入学と公立小学校でかかる教育費

小学校入学年にかかる費用はどうでしょうか。2016年度「子どもの学習費調査」(文部科学省)で、小学1年生と2年生にかかる学習費を比較すると、7万円余り1年生のほうが多くなっています。中でも通学用品費は4万円以上、学用品・実験実習費は1.4万円近くに及びます。

入学時には体操服や上履き、学校や地域によっては制服などの初期費用がかかります。その上、ランドセルや学習机等を購入すると、万単位での支出になるでしょう。

ランドセル等は、祖父母など親族から贈られるケースがあるかもしません。みんなが子どもの成長を楽しみにしていることを話し、子どもから感謝の気持ちを直接伝えるなど、成長の節目を共有できるとよいですね。

入園・入学費用は「日々の家計でやりくり」が基本

3歳児からの入園、小学校への入学には、他の学年にはない初期費用がかかります。できるだけ出費を抑えたいなら、すべて買い揃えなければならないかどうか、まずは確認してみましょう。一時的にかさむ入園・入学費用も事前に少しずつ積み立てるなど、日々の家計からやりくりするのが基本です。家庭にあるストック品で済むかもしれませんし、お下がりやフリーマーケットなどで調達できる場合もありそうです。

子育て世代の中でも幼稚園に通う子どものいる家計は、これまで教育費の負担が重く、家計やライフプランの上で「貯蓄がしづらい時期」でした。そこで、国も幼稚園就園奨励金などで保護者の負担を抑えるべく支援してきた経緯があります。今回の3~5歳児クラスの無償化で、さらに教育費の負担軽減に踏み込み、家計の「貯め時」の機会が増えたことは評価できるでしょう。

ただし、園や学校以外の教育費はこれまで通り保護者の負担です。また、消費税増税後の景気対策として、ポイント還元などが行われようとしていますが、浪費は避けたいところです。

今回の無償化の恩恵を受けた分は「なかったもの」としてあらかじめ家計から取り分け、消費税増税分を家計の赤字にしないよう、貯蓄やその他の有効な使い道に振り分けていきましょう。

内閣府 幼児教育の無償化に係る参考資料
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/free_ed/child_sanko.pdf

厚生労働省 平成27年 地域児童福祉事業等調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jidou/15/dl/gaikyou.pdf

文部科学省 平成28年度 子供の学習費調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001110595&tclass2=000001110596&tclass3=000001110603&stat_infid=000031655561

プロフィール


中上直子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活コンサルタント。
マネー、消費生活、消費者教育などをテーマに編集・執筆、教材企画、講座講師、講師養成などで活動。日本消費者教育学会会員。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/
一般社団法人消費生活総合サポートセンター(Cサポ)理事
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