大学入試にも必要!?「ポートフォリオ」とは

「ポートフォリオ」というと、有価証券目録とか、金融商品の組み合わせのことを浮かべる保護者のかたも少なくないかもしれません。もともとは「紙挟み」「書類入れ」の意味で、教育界では「ポートフォリオ評価」として注目を集めています。それも、今後の進路選択はもとより、実際の大学入学者選抜にまで関係してくるとなれば、無視できません。いったい、どういうものなのでしょうか。

振り返りのための有効な手段

教育界でのポートフォリオとは、学習の過程や成果などの記録を、計画的にファイル等にためておくことを指します。成果物としては作文や作品、写真などで、紙媒体だけでなく電子データの形もあり得ます。
こうした記録の蓄積を一覧することにより、学習者がどういう学びのプロセスを経て成長していったかが読み取れます。そんな成長過程を評価しようとするのが「ポートフォリオ評価」です。そのつど記録を蓄積したり、振り返ったりするのは大変ですが、一発勝負のテストの点数には見られない、さまざまな情報があふれています。先生が評価するだけでなく、子ども自身にとっても、自分の学習過程を客観的に把握できるとともに、「振り返り」を通して自らの課題を見つけ、次の学習につなげることができます。

今年から小・中学校で移行措置に入った新しい学習指導要領でも、ポートフォリオ評価に期待を掛けています。新指導要領は「何を学ぶか」だけでなく「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)を重視し、そのために「主体的・対話的で深い学び」など「どのように学ぶか」の工夫も求めているからです。

キャリア教育

新指導要領では、高校だけでなく、小学校から「キャリア教育」が位置付けられました。キャリア教育とは、「社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」(2011年1月の中教審答申)のことです。特別活動や進路指導はもとより、各教科の内容が社会生活でどのように活用されているかを学ぶことも、立派なキャリア教育の一環です。
指導要領の改訂を提言した2016年12月の中教審答申は、小中高を通じたキャリア発達を促すため、ポートフォリオの機能を持つ「キャリア・パスポート」の活用を提言しました。これについては、国立教育政策研究所が先頃作成したリーフレットが参考になります。
ポートフォリオ評価は、入学者選抜の手法としても期待が掛けられています。選抜の際に評価すべき「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」が見て取れるだけでなく、成長の過程を追うことで、入学後の「伸びしろ」も展望できるからです。

文部科学省の委託事業で、高大接続ポータルサイト「ジャパンeポートフォリオ」(Jep)も稼働しています。高校生が学習の記録や「振り返り」を電子データで蓄積しておき、それを受験先の大学が参照できる仕組みです。
子どもが自律的に学び、自らの将来を切り開く力を付けさせるためにも、ポートフォリオ評価の考え方は、大いに参考となるものでしょう。

(筆者:渡辺敦司)

※中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_0.pdf

※国立教育政策研究所 リーフレット「キャリア・パスポートって何だろう?」
http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/3.htm#sinro

※ジャパンeポートフォリオ
https://jep.jp/

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A