サイト被害の対策、保護者任せ・学校任せにしないで!

先の記事でもご紹介したとおり、子どもに携帯電話(ケータイ)やスマートフォン(スマホ)を持たせている多くの保護者が、その使い方に不安や悩みを抱えています。その先には「知らない人と会って、犯罪に巻き込まれないか」という心配もあると思います。では、実際に被害に遭った子どもの実態はどうだったのでしょうか。


警察庁のまとめによると、2014(平成26)年中に出会い系サイトやコミュニティーサイトを通じて被害に遭った子どもの数は増加傾向にあります。明らかな出会い系サイトによるものが減少する一方、コミュニティーサイト、とりわけ無料通話アプリのIDを交換する掲示板を通じた被害の増加が近年、目立ちます。こうした掲示板はもともと危険なわけではなく、知らない人に個人情報を知らせるという、使い方によって起こることです。また、「無料通話アプリ」という点でもわかるとおり、アクセス手段としてはスマホが約8割を占めているのは近年の傾向ですが、ケータイに限らず、通信機能を備えたゲーム機の掲示板などにも危険性が潜んでいることにも注意しておく必要があります。

被害に遭った子どもについて、保護者による注意状況はどうだったのかを見てみると、「一般的な注意を受けていた」(27.2%)、「サイト利用を親に話していないので、注意を受けたことはない」(26.6%)、「注意を受けたことはない、放任」(25.9%)が、それぞれ4人に1人を占めています。「一般的な注意を受けていた」に「注意を受けていたが無視していた」(9.4%)、「具体的な注意を受けていた」(4.8%)、「利用を制限されていた」(4.8%)を加えると、保護者から何らかの注意を受けていたのは46.2%と半数近くになります。少数ですが「ゲームサイトの利用と親に話していたので、注意を受けたことはない」(1.3%)というのもあります。レアケースであっても個々の子どもに起きる問題ですから、無視できません。

おそらく読者の方々も、ケータイに限らず、日々感情が揺れ動く思春期のお子さまにどう接すればよいのか、とまどっていることと思います。子どもの側からしても、つい興味本位で、あるいは日常の人間関係のわずらわしさから脱しようと、コミュニティーサイトで知らない人の問い掛けに応じてしまうことが少なくないでしょう。スマホの問題というより、親子関係の問題といえるかもしれません。また、子ども自身が自尊感情を持ち、自分の身は自分で守る態度を身に付けることが、被害に遭うことを避ける最も確実な手だてといえるかもしれません。

学校における指導状況を見ても、「教えてもらった」(36.3%)のに犯罪に遭ったり、「教えてもらったが、自分は大丈夫と思っていた」(23.0%)りと、指導を受けていたケースもありました。保護者任せや学校任せにするのではなく、あるいは情報モラルの問題などと狭くとらえるのではなく、思春期の子どもの問題として、広い立場から関係者が連携して取り組むことが求められます。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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