「スーパーグローバル」高に新規56校、計112校に

高校時代から世界を舞台に課題を解決する学習を行う文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)に、新規56校(国立7校、公立31校、私立18校)が指定されました。2019(平成31)年度までの5年間、大学や企業、国際機関などとも連携しながら、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成に取り組むことになります。これでSGH指定校は初年度である昨年度の56校と併せて、112校(各11校、65校、36校)となりました。

今回の新規指定校は、全国190校の応募から実質3.4倍(前年度4.4倍)の難関をくぐり抜けて指定を得ました。SGHには本指定校のほか、準指定である「SGHアソシエイト」も設けられたことは昨年の記事で紹介しましたが、新規指定校のうち半数以上の32校は前年度アソシエイト校からの昇格です。一方、今年度のアソシエイトには55校が指定されたのですが、このうち20校が2年連続です。本指定になれば年間1,600万円までが支援されますが、依然としてなかなか狭き門だといえそうです。
指定に当たっては地域的なバランスなども考慮されているものの、都道府県枠があるわけではなく、あくまで申請内容による審査のため、結果的に指定校があるのは41都道府県(前年度比9県増、未指定は山形・栃木・和歌山・香川・佐賀・沖縄の6県)となりました。
新規指定校について見ると、中高一貫校が10校以上含まれています。地域の公立難関校や私立の有名進学校だけでなく、多様な高校が入っているのも初年度と同様です。東日本大震災から未来志向の復興教育を目指して、今春開校した福島県立ふたば未来学園高校(構想テーマは「原子力災害からの復興を果たすグローバル・リーダーの育成」)や、島ぐるみで地域を担う人材を育成する、島根県立隠岐島前高校(同「離島発 グローバルな地域創生を実現する『グローカル人材』の育成」)が入っていることも注目されます。

ここで改めてSGHの意義を振り返っておきましょう。グローバル人材とは、単に英語ができればよいわけではありません。世界的な視野で、未解決の課題に対して果敢に挑戦する意欲を持ったうえで、文化的背景や宗教を異にするさまざまな国・地域の人たちと積極的にコミュニケーションを取りながら、何事かを成し遂げようとする人が求められます。だからこそSGHでは、海外でのフィールドワークや発表なども含めて、問題解決能力を培う「課題研究」を中心に取り組むことにしているのです。
こうしたグローバル人材は、一部のエリート校で担えばよいわけではありませんし、海外に出る人だけが関係するものでもありません。隠岐島前高に見られるように、地域創生の観点からもグローバルな視点でローカル(地方)の課題を解決する「グローカル」も必要になっているからです。全国の高校に成果を普及させていくのも、SGHおよびアソシエイト校の重要な役割です。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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