21世紀に必要な「創造的・協創的学び」は遊びを通じて

現在の子どもは、21世紀半ばに働き盛りを迎える世代です。そのころどんな時代になっているか予測することは困難ですが、だからこそ、どんな変化にも対応できるような資質・能力を育てようと、中央教育審議会でも現在、学習指導要領の全面改訂が検討されています。一方で、どのような学習を行えば先行き不透明な将来にも備えられるチカラが身に付けられるか、各方面でさまざまな試みも行われています。

ベネッセコーポレーションは先頃、「まなびmeeting」の一環として、日本科学未来館(東京都江東区)で「世界のプログラミングの教授といっしょにつくろう! ボクらのプロモーションビデオ!」を開催しました。プログラミング教育は近年、政府の「日本再興戦略」(外部のPDFにリンク)にも義務教育段階からの実施が盛り込まれるなど注目されています。ただし、ここで行われたワークショップは、ちょっと毛色が違うものでした。

参加した小学生(4年生以上)は一切パソコンなどを使うことなく、床に寝転んで、寝相アートの要領で演技したものを、天井につるしたカメラでコマ撮りして、アニメーションを作りました。「(ワークショップ後のシンポジウムに参加する)300人の大人をびっくりさせよう!」というミッション(使命)も与えられました。リレーやロボットなど、グループによって描くテーマはさまざま。当日初めて顔を合わせた者同士で話し合い、動きをモニターで修正しながら一つの作品に仕上げる活動を通じて、他者と協働しながら新しいものを創造していくという、21世紀に不可欠となるスキルを自然と身に付けられるようにしようという取り組みです。

仕上がりをイメージしつつ、修正を加えながらよりよい作品に仕立て上げていくという一連の作業は、プログラミングの基礎につながることはもとより、批判的思考力の育成にもつながるといいます。まさに、次期指導要領で導入が検討されている「アクティブ・ラーニング」(AL、課題発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習)です。また、プロモーションビデオの編集はプロが行うほか、カメラマンによる雑誌の表紙のような撮影も行われました。ホンモノの大人が介在し、同行した保護者にもほめてもらうことで、子ども自身の自尊感情も育むことも狙っています。

ワークショップを指導した米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授は、大人にも「幼稚園の学び」を広げることによって、創造的思考力を身に付けさせることを提唱しています。それには、実現したい目標(Project)・仲間(Peer)・情熱(Passion)・遊び(Play)という「4つのP」が必要だといいます。一緒にワークショップを指導した上田信行・同志社女子大学特任教授によると、少しハードルが高い「ハードな楽しさ」があるほうが、よりがんばって取り組めるそうです。

21世紀型の学びは、楽しそうで、かつ奥が深いようです。未来を生きる子どもたちのために学びを深める多様な授業の開発が進むことを、大いに期待したいものです。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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