算数・数学好きの子どもを育てるには【前編】算数・数学嫌いの理由とは

小学校高学年になると苦手教科として挙げられることの多い算数や数学ですが、算数・数学を好きになってもらうにはどうしたらよいのでしょうか。横浜国立大学大学院教授で『計算しない数学』著者の根上生也先生に伺いました。



子どもは誰でも数学者!?

まず手始めに、お子さんといっしょに紙の上に円を描いてみましょう。コンパスや定規は使わずに、フリーハンドで「まんまる」を描いてください。あなたとお子さんとどちらが上手に描けたでしょうか? 出来映えを比べて、何度もチャレンジしてみましょう。
実は、私は毎年11月に、フリーハンドでどれだけきれいな円が描けるかを競う「円描き大会」を主催しています。「円」とは、中心から等距離にある点の軌跡だと数学的に定義することができますが、そんなことを知らない幼稚園児でも、「まんまる」は描けます。それができるのは、「円」というものが、学校で習うまでもなく、私たちの心の中に宿っているからです。
ほかにも、どちらの棒が長いとか、どちらがたくさんあるとか、子どもたちは算数を習う前からいろいろな算数的な事柄を直観的に理解する力を持っています。そういう生得的な力を私は「基礎数学力」と呼んでいます。それは、数学的な原理や構造を見い出す能力です。「見てそれとわかること」と言ってもよいでしょう。
それは目で見てわかることだけではありません。たとえば、ハトが10羽いるのに巣が9個しかないと、何が起きるでしょうか。もちろん、どこかの巣にハトが2羽入ることになりますね。その理由をうまく説明できないにしても、誰もがそう考えると思います。これも基礎数学力のひとつです。私は基礎数学力を自然に伸ばして、学校で習う算数・数学と向き合う「態度」を育てることが大切だと考えています。



算数・数学が嫌いになってしまう理由

積み木やブロックでいろいろな形を作ったり、お菓子やおもちゃの数を数えたり。子どもたちが小さいときに経験することは算数・数学的なことばかりです。知らず知らずのうちに、遊びをとおして、図形や数の概念を学んでいきます。きっと基礎数学力が自然に発揮できる状況はどの子にとっても楽しいでしょう。実は、小学校低学年の子どもたちの多くは算数の授業が大好きです。ところが、高学年になって機械的な計算の指導しかしない先生に出会ってしまうと、基礎数学力を発揮する余地がなくなり、自分の判断や理解を中心にして算数と向き合う機会を失ってしまいます。その結果、算数・数学が「自分」とは遠い存在になってしまい、しだいに嫌いになっていくのでしょう。計算が得意か不得意かの問題ではありません。



算数好きにする3つの法則

より多くのことを覚えていて、計算が速い。自分のお子さんがそういうふうになればよいと思っている保護者のかたが多いかもしれませんね。確かに、そうなれば、テストの成績もよく、受験もそれなりにこなせる子どもになるでしょう。でも、それだけでは決して算数・数学が好きで、得意な子どもにはなりません。大学受験が終わった途端に、数学から離れていってしまいます。
そういう子どもでよいという考え方もあるかもしれませんが、子ども時代に膨大な時間を費やして獲得した力が大人になったら必要ないというのはもったいない話ではないでしょうか。では、大人になっても算数・数学が好きであり続けるようにするにはどうしたらよいのでしょうか。私はそのためには次の3つが大切だと思っています。

 1.保護者の数学観を押し付けない。
 2.自分で判断することに自信を持たせる。
 3.解答の速さを求めない。


お母さんが嫌いだった算数・数学をお子さんが好きになるわけがありません。算数・数学が好きな子どもはそれとは違うものを見ているのです。その一端は小中学校の算数・数学の教科書に垣間見ることができます。実は、各単元の導入は、算数・数学を自分自身の力で作り上げていくように書かれているのです。もしもご自分のお子さんが算数が苦手なようなら、いっしょに算数の教科書をじっくりと読んでみてはどうでしょうか。計算を速くする練習よりも、きちんと理解することに力を注いだほうが将来のためになりますよ。

タブレットだからこそできる「立体」の解説で算数の苦手を克服

算数が苦手になってしまうのは、紙の上での計算や回答に終始するあまり、算数そのものが身近に感じられず、遠い存在になってしまうことが原因の一つといえます。
例えば、図形や立体も苦手なお子さまが多い単元の1つです。図形や立体の苦手を克服するには、紙の上だけでなく、実際に同じ形のものを使って勉強をする方法が有効です。ただ、折り紙で図形を作ってみたり、豆腐やスポンジを切って断面を見たりというやり方は、保護者のかたの時間に余裕がなければ、なかなかできないものです。
チャレンジタッチでは、説明だけではわかりにくい「図形」を画面上で自分が納得できるまで動かしてみることができます。見えてない部分がどうなっているのか、ほかの道具を使わずにお子さま自身で考える手助けができるのです。



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