子どもたちのスポーツ活動【後編】……日本の幼児~高校生で、一番人気のスポーツは? ‐木村治生‐

前編では、2013(平成25)年3月にベネッセ教育総合研究所が行った「第2回学校外教育活動に関する調査」から、子どもの年齢別・男女別スポーツ活動率のデータを紹介しました。今回はスポーツの種目を取り上げます。
表1は、「この1年間で、お子さまが定期的にしていた運動やスポーツはありますか(ありましたか)」という設問の回答を集計したものです。対象は3歳から18歳の子どもを持つ母親です。
この調査では、子どもの一番人気は「スイミング」という結果でした。ただ、スポーツ活動率は年齢によって大きく変動しますので、学校段階別に見ていきましょう。



幼児・小学生のトップ3は「スイミング」「サッカー/フットサル」「体操教室・運動遊び」

幼児の1位は「スイミング」で21.5%。2位は「体操教室・運動遊び」で15.8%、この2つがほかを大きく引き離しています。3位には「サッカー/フットサル」、4位に「ダンス」、5位に「空手」と続きます。
小学生では、トップ3の顔ぶれは幼児とまったく一緒ですが、2位と3位が入れ替わっています。トップの「スイミング」は33.5%とさらに増えて、およそ3分の1の小学生が行っていることになります。4位の「ダンス」(5.0%)、5位の「空手」(4.8%)は、ほかの学校段階と比べて、小学生段階での活動率が最も高くなっています。



中学生・高校生とも「硬式テニス/ソフトテニス」がトップ!

中学生になると人気が分散し、順位も大きく変動します。1位は「硬式テニス/ソフトテニス」で11.1%、2位は「硬式野球/軟式野球/ソフトボール」で7.1%、3位は「サッカー/フットサル」「バスケットボール」「卓球」が同率の6.8%で並びます。小学生までは圧倒的な人気を誇っていた「スイミング」が、7位に急落します。
高校生でも、引き続きトップは「硬式テニス/ソフトテニス」で活動率は7.5%。2位には「陸上競技/マラソン」が入り、3位は「スイミング」、4位に「硬式野球/軟式野球/ソフトボール」と続きます。

【表1 子どもが定期的にしていたスポーツ活動(全体、性別、学校段階別)】

※複数回答(%)。表では全体の上位10位までを示した。
※白抜き数字は順位を示す。表中で同率のものは、少数第二位以下により順位をつけている。
出典:ベネッセ教育総合研究所「第2回学校外教育活動に関する調査」(2013)


このように、小学校から中学校に上がるタイミングでスポーツの種目別の活動率ががらりと変わる要因として、活動の場所(所属する団体)の違いが挙げられます。幼児と小学生では、活動の場所(所属する団体)は半数以上が「民間経営」ですが、中学生・高校生では「学校の部活動」が圧倒的に多くなります(表2)。小学生までは「習い事」として活動している子どもが多く、市場が成立している特定の種目に集中しています。中学生以上は、学校の部活動が中心となるため、学校の部活動が成立している種目に散らばります。地域による違いや家庭の経済的な負担が比較的小さい部活動で、子どもが好きなスポーツに挑戦できるチャンスが広がるのは素晴らしいことです。

ただ、中高生のスポーツ活動の担い手が部活動に偏るのも、子どもによっては負担かもしれません。たとえば、文化部を中心に活動しながら、楽しむためのスポーツもやるということがあってもいいと思いますが、そのように気軽にスポーツを楽しむ活動場所はあまりありません。健康増進や息抜きでスポーツ活動を楽しめるような場を、子どもたちが育つ地域で担えるといいのですが、「地域ボランティア運営」や「自治体・公益法人運営」などのいわゆる地域スポーツで活動する子どもは、小学生で約2割、中学生、高校生では数パーセントに過ぎません。


【表2 子どものスポーツ活動の場所(学校段階別)】

※スポーツ活動に所属している人の団体をすべて足し合わせて算出した(%)。同じ人が複数の回答をしている場合は、それぞれ1としてカウントしている。
※表中の◎は学校段階別で最大値。○は2番目の値。
出典:ベネッセ教育総合研究所「第2回学校外教育活動に関する調査」(2013)


1964(昭和39)年の東京オリンピックを契機に、高度経済成長も手伝って、トップアスリートだけではなく、みんながスポーツを楽しみ、健康増進を図れるように、それまではほとんどなかった民間経営のスポーツ施設が増えたといいます(※)。2020(平成32)年の東京オリンピック開催をひとつの励みに、スポーツに親しむ子どもが増えていくような環境整備や意識の変化が望まれます。

※JOCのホームページに記載されていた内容より


プロフィール


木村治生

東京大学社会科学研究所客員准教授(2014~17年)・客員教授(2021~22年)、追手門学院大学客員研究員(2018~21年)、横浜創英大学非常勤講師(2018年~22年)。
これまで、文部科学省、経済産業省、総務省などからの委託研究に携わるとともに、文部科学省審議会委員、独立行政法人国立青少年教育振興機構事業選定委員、内閣府調査企画委員会委員、埼玉県草加市教育委員会専門部会委員などを務める。
教育スペシャリスト紹介

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A