消費税増税前にやっておきたい家計の見直しとは

今年も残りわずか。そろそろ年賀状だけでなく一年の家計の見直しもしていただきたい時期に入ってきました。以前にも年末は家計の見直しの時期ですとおすすめしたことがありますが、今回は消費増税前ということで、いつもより念入りな見直しが必要と言えます。その場しのぎでなく将来まで見据えた家計の見直し、今年こそがんばってみませんか。



まず確認したいのは、思いがけない費用が
どれくらいかかったのか

「子どもにかかる費用は小さいうちから準備しておきましょう」と子どもにかけるお金を考える会としては何度も申し上げているところですが、何事も計画どおりには行かないものです。
小学生2人、中学生1人の計3人の子育て中の我が家でも計画外の費用がありました。歯の矯正、そして、受験勉強の方法の変更(最初は通信で最後までという本人の意気込みが空回りをし、通塾することに!)による費用の上乗せというところでしょうか。高校生までの教育費用は毎月の支出内に収めるということが基本ですが、家計の中で予想外の出費があった場合には、これからも突発的な費用として出てきそうなものか確認すること。これからも出てきそうな出費と考える場合には、それを計画的な出費と考えなおし、積み立ての金額に無理がないか、来年の収支計画をたててみましょう。その時、積み立て金額は手取りの10%など、ご家庭で死守できるラインを持つのがポイントです。



節約の次は「投資」の流れ?

「家計の中で節約はもう限界」となった場合には「投資をしよう」ということで、NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の口座を開設したご家庭も多いかもしれません。銀行や証券会社などからさまざまな勧誘を受けたことでしょうが、一人一つの口座しか開設することができない、金融機関によって扱っている商品が異なるなどいくつもの注意点があります。もし、ご夫婦でそれぞれに口座を開設したのであれば、年200万円までの投資にかかる利益への課税が免除されます。5年間で1,000万円の投資をして利益が出ても課税されないわけです。実際に投資ができるようになるのは2014(平成26)年1月からですが、年末までに金融商品の選択をご夫婦で話し合っておくとよいでしょう。NISAの場合、売ってしまうとその非課税枠は使用することができませんから、慎重にするということと、子育て世代にとってはあくまで投資は「余裕」資金ですから、無理はしないというのが鉄則です。上限100万円を無理に投資する必要はありません。我が家の場合も、前段のように急な出費にも対応できるように、投資資金は、余裕資金かつ比較的流動性の高いものというルールがあります。肝心なときに出費ができないというのでは困りますから。



子どもの費用は甘くなっていないか

年末行事といえばクリスマスにお正月と、これを機会に「ゲームをもらった」「携帯電話をもらった」「スマホをもらった」と、サンタさんや親戚、もしくは親から子どもたちへの希望が叶えられたというお話をよく聞きます。希望が叶えられるというのは子どもたちにとっても喜ばしいことですが、この希望を叶えるために「いくらぐらい」かかるのかということを、必ず子どもたちにも確認させておくと、金銭教育と堅くならずに親子でお金について話し合えるきっかけとなるでしょう。スマホを与えるのであれば、「スマホは○○円で買える物だけれど、毎月これだけ余分に費用がかかるね」など、日常会話に入れておくことで、お金はわいてくるものでないことに気付くきっかけになります。その他、習い事や塾の費用など、年末までに見直ししておくことで、新年度の習い事の中でそろそろやめるものや新たに始めるものを予測して、毎月必ず固定でかかってくる子どもの費用の概算を計算しておくと、積立額の目安となるでしょう。支出をして、残った金額が「貯金」ということでは、いつまでもお金は貯まっていきません。大事なのは、計画を立てて、「月々いくら積み立てる」という先取り貯金という仕組みを作ることです。



家計のリバランスをしておこう

「リバランス」という言葉はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、投資の世界でよく言われる言葉です。投資をする場合、分散するとリスクを減らすことができると言われていますが、定期的に、儲かっているものと損を出しているものの配分を見直すという作業をします。これが「リバランス」です。家計でも、子どもの成長につれて、家計の配分が変わってきます。食費・通信費・学費などが多くなっていくものの代表格でしょうが、多くなるからといって、手取りが増えるわけではありません。更に、消費税が8%に増えることで支出増が予想されます(下図参照)。


【図1 消費増税による家計の消費支出増加の予測】

※増税後(消費税8%の場合)の計算は、消費税の非課税項目を除外した単純計算参考:総務省「家計調査2013(平成25)年9月」


【図2 家計支出(例)】

参考:総務省「家計調査2013(平成25)年9月」


このバランスを見ながらここが増えたからこちらを減らそうなどと、項目ごとの枠をあらかじめ作っておくとよいでしょう。参考までに、総務省の家計調査から2013(平成25)年9月の支出を挙げておきます。5%の消費税で購入しているものを8%にして購入すると一月約5,000円の増加が見られることがわかります。単純計算して、年間6万円という数字が家計に重く響くことが実感できるでしょう。
育児休業中の給付を現行の50%から67%に上げるという議論が始まっています。夫が一時的な育児休業をとるなど夫婦の働き方、家計の運営の方法、子どもにかかる費用も含めて年末ゆっくりしている時こそ、ぜひご家庭で話し合っていただきたいものです。


プロフィール


當舎 緑

社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。資格取得をはじめ、教育・育児、マネーなど一般消費者向けのセミナー、執筆活動を行う。子どもにかけるお金を考える会(http://childmoney.grupo.jp/)のメンバー、一般社団法人かながわFP生活相談センター(https://kanagawafpsoudan.jimdo.com/)の理事でもある。金融機関での年金相談はじめ、区役所、県民相談の窓口での行政相談、病院でのがん患者就労支援相談の窓口で一般向けの相談にも応じている。家庭では3児の母でもある。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A