子どものおしゃれトラブル ~現状と原因~

アイメークやマニキュア、ピアスにタトゥーなど、近年子どもたちのおしゃれはどんどんエスカレートしています。その一方で、子どもたちのおしゃれによるトラブルの数も急増しています。
今回は、多くの子どもたちのおしゃれトラブルを診てこられた、岡村皮フ科医院長の岡村理栄子先生に、低年齢化するおしゃれ事情について伺いました。



加速するおしゃれの低年齢化

「おしゃれトラブル」とは、化粧やピアス等の装飾品を身につけるなど、いわゆる「おしゃれ」をすることによって引き起こされるさまざまなトラブルのことで、その多くがかぶれやアレルギーなど皮膚に現れます。

近年、人気アイドルの影響や、子ども向け雑誌による化粧の紹介などメディアの影響もあって、外見を重要視する傾向が高まっています。そのため、おしゃれに関心を持ち始める子どもの低年齢化は加速するばかり。つけまつ毛などのアイメークやマニキュアなど、中学生からお化粧を始めることは今や当たり前の状態で、高校生から化粧を始めるのは遅れていると思われているのが現状です。
最近では、おしゃれへ強いこだわりを持つ小学生も増えており、中学校に上がると部活の先輩や校則でうるさく言われるので、その前にいろいろ経験しておこうとおしゃれを始める子どもが増えています。
また、きれいに着飾るおしゃれだけではなく、ニキビの悩みなど男女問わず間違った対処法によってトラブルを起こすケースも増えています。ニキビを隠すためにファンデーションを使用したり、くせ毛を気にして自分でストレートパーマをかけたりするなど、思春期特有の悩みからおしゃれ用品に手を出す子どもも少なくありません。

このような子どもたちの傾向には、メディアの影響以外にもさまざまな社会背景が考えられます。100円ショップや子ども向け雑誌の付録など、子どもたちが安く手軽におしゃれグッズを入手できる環境もその一つです。子どもたちの「おしゃれトラブル」は、保護者の方々の努力で未然にまたは最小限に食い止めることができる場合もあります。しかしその一方で、子どもが外見を気にし過ぎることや、行き過ぎたおしゃれをすることに対してアドバイスをしなかったり、中には自身の趣味や子どもにせがまれたからといって、パーマや染毛をするケースがあるのも事実です。そういった点も、子どもたちが安易におしゃれを始める原因となっているのです。

しかし、成長期の子どもたちの体は、未完成なだけに繊細です。特に、人体の大部分を占める皮膚はトラブルを生じやすく、かぶれたり、中には接触皮膚炎の第1段階である感作(アレルギー反応を起こす原因に対して作られた抗体が、体に記憶された状態)を起こす場合もあります。この感作は、すぐにかぶれなどのはっきりとした症状が現れなくても、将来かぶれが起きる危険性があります。また、一度起きると、治ったと思っても再びアレルギー反応を起こす可能性があり、一生治ることのないかもしれない怖いトラブルでもあるのです。



保護者の正しいアドバイスがおしゃれトラブルを防ぐ

皮膚へのトラブルが起きる原因は、成長過程にある子どもの皮膚が大人と違って未熟で、やわらかくて乾燥しやすく傷つきやすい構造だという点にあります。当然のことですが、子どもの体は完成された大人の体とは違い、まだまだ未完成の状態です。皮膚の場合、特に小学生から中・高生の思春期にかけては肌質が変わりやすい時期のため、とても刺激を受けやすくなっています。そんな時期に、化粧品などに含まれる化学物質やピアスなどの金属を皮膚に触れさせると、これら体へ悪影響を与える成分が皮膚の内部や体の内部に入りやすくなり、大人よりも感作が起こりやすくなるのです。

このような子どもたちのおしゃれトラブルは、子どもたちのほとんどが、体のことやおしゃれ用品についての正しい知識を持たず、誤った使用法をしてしまうことにも原因があります。なるべく早い時期におしゃれトラブルを防ぐ、あるいは最小限に食い止めるためにも、見た目ばかりを優先させるおしゃれの問題点や、おしゃれに潜む危険性などについて、保護者の方々から子どもたちへきちんと伝えることが大切だと思います。
また、子どもたちに納得してもらえるよう、まずは保護者の方々がどんなトラブルがあるかを知り、正しい知識・使用法を身につけることも大切です。

次回は、どのようなおしゃれトラブルがあるのか、その具体例と対処法について紹介します。


『おしゃれ障害 ~健康を害する誤った〝おしゃれ″に警告』『おしゃれ障害 ~健康を害する誤った〝おしゃれ″に警告』
<少年写真新聞社/岡村理栄子(著、編集)/1,995円=税込み>

プロフィール

岡村理栄子

岡村理栄子

東京女子医科大学卒。同大学付属病院講師を経て、米国エモリィ大学へ留学。1988(昭和63)年より、岡村皮フ科医院を開業。主な著書に『おしゃれ障害 ~健康を害する誤った〝おしゃれ″に警告』(少年写真新聞社)などがある。東京都皮膚科医会学校保健委員長。

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