やると決めたことが続けられません[教えて!親野先生]

【質問】

 

毎年、年度が変わって新しい学年になるときは張り切るのにそれが続いたことがありません。去年の4月にも、「4年生では漢字とピアノとテーブル拭きをがんばる」と決意したのですが続きませんでした。継続させるにはどうしたらよいでしょうか?(スイッチナビ さん:小学5年生男子)


やると決めたことが続けられません[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

スイッチナビさん、拝読いたしました。

「継続は力なり」と言われる通り、何事も努力を続けることによってのみ大きな成果を上げることができます。でも、わかっていてもこれがなかなかできないのですね。「言うは易く行うは難し」の典型だと思います。
そこで、継続のためにどのような工夫ができるか考えてみたいと思います。

学年が変わる3月4月の節目は子どもたちにとって貴重な時期です。どの子も「○年生になったらがんばりたい」という気持ちを持っているものです。その漠然とした気持ちをうまく引き出し、よりはっきりした形にしてあげることが大切です。
そのためには、親子で話し合う時間を取ると良いでしょう。
そこでは、親子で楽しくおしゃべりしながら、まず去年一年間のことを振り返ります。楽しかったこと、思い出になったこと、がんばったこと、できるようになったこと、成長したこと、失敗したこと、悔しかったことなどです。
失敗や悔しかったことなどは、責めるのではなく共感してあげます。そして、子どものがんばったことや成長した面を大いにほめてあげてください。子どもも親もすでに当たり前と思っていることでも、実は1年間の成長の表れであることも多いのです。ですから、子どもが自分のがんばりや成長を自覚できるようにしてあげることが大切なのです。自分のがんばりや成長を自覚することで、子どもは自分に自信を持つことができます。

その次の段階で、○年生でやりたいことやがんばりたいことについておしゃべりします。すると、子どもも前向きに考えることができます。「○年生では□□をがんばるぞ。よーし、やるぞ」という気持ちになれるのです。このように最初のやる気を高めてあげることが大切です。
このようなステップを踏まないで、いきなり次のように言う親がけっこういます。
「4年生では漢字がダメだったから、5年生では漢字がんばりなさいよ」
「3年生では計算ができなかったから、4年生では毎日計算ドリルをやりなさいよ」
これでは、最初からやる気など出るはずがありません。
最初からやる気が出ないのにがんばり続けられるはずがありません。
こういう言い方でやる気がグンと高まるという子がいたら、お目にかかりたいくらいです。

さて、このように一年間のがんばりと成長をほめ、新学年でのやる気が高まってきたら次のステップに進みます。
それは、新学年でがんばることをもっと明確なものにするということです。
たとえば、「漢字をがんばる」ではなく「漢字博士になるために毎日漢字を5つ覚える」というようにします。
「ピアノをがんばる」ではなく「ピアノ5級合格を目指して毎日10分練習する」です。
「お手伝いをがんばる」ではなく「みんなが気持ちよくお風呂に入れるように、5時30分からお風呂掃除」です。
「テーブルを拭く」ではなく「楽しくおいしい食事のために、私が毎食後のテーブルをピカピカにしちゃいます」です。
コツは目標と約束の両方をセットで決めることです。
「○○になるために」「○○を目指して」「○○できるように」の部分が目標で、そのあとが約束です。しかも、できるだけ具体的に決めます。
目標だけだと、実際に毎日何をするのかがわからないので、がんばりようがないのです。
また、約束だけだと、何のためにやっているのかわからなくなってきてモチベーションが保てなくなります。

そして、目標と約束の両方を決めたら、それを書いて目につくところに貼っておきます。そうしないと、いつの間にか忘れてしまうからです。
なお、場合によっては目標と約束の期間を書いておくのも良いでしょう。
「1学期の目標と約束」とか「7月31日まで続ける」などと書いておくのです。エンドレスでずっと続けるよりも、期間を限定したほうががんばれることもあるからです。
そして、目標と約束が実行できるようにするために、私はがんばり表をつくることをオススメします。これは日付と約束の項目を書いた表で、実際に約束を実行できた日は花丸をつけたりシールを貼ったりします。これが励みになって続けられるようになります。

さて、これらは子どもに関することですが、ぜひ親である皆さん自身にもやっていただきたいことがあります。それは、毎日必ず見届けをするということです。
見届けとは、子どもがやっているか確認して、やっていればほめ、やっていなければやらせてほめることです。
このとき、やっていないからといって「またやってない。やらなきゃダメでしょ」などの否定的な言い方はしないでください。
「さあ、今からやろう」「1分以内に始めるよ。用意、ドン」「じゃあ、お母さんが見ていてあげるからがんばって」など、単純にして明るい言い方で言ってあげてください。そのほうがはるかに気持ちよく取り組めます。
どうせ子どもと過ごす毎日は同じことを何万回も言うことになるのです。どうせ言うなら、気持ちの良い言い方にしましょう。

この見届けはぜひやってください。
なんでもそうですが、決めたことが続かないのは実は子どものせいではありません。親が忘れてしまうから続かないのです。
最初のころは、親が見届けをしてほめているから続くのです。そのうち、だんだん親が見届けをしなくなり、それによって子どももやらなくなります。そして、ある日突然親が思い出して叱るというのがお決まりのパターンです。
こういうとき、声を荒げて激しく叱りつけるのが厳しさだと思っている人がいますが、とんでもない勘違いです。
親が見届けを忘れずほめ続けることができていれば、子どもも続けることができたのです。親は、子どもが続けられなかったのは親自身の責任であり、
子どもを叱る資格などまったくないと悟るべきなのです。
大切なのは、親子で目標と約束を決めたとき、親が「よし、絶対これを成功させて子どもに自信をつけさせてあげよう」と決意することです。
そして、そのために自分が見届けを続ける決意をして実行することです。

そのために、オススメなのが親の見届け表です。これは親が見届けをしたら丸をつける表で、親のがんばり表とでもいうべきものです。子どもがやってあったら丸をつけるということではなく、親が見届けをしたら丸をつけるのです。

これは実に効果的です。
いつも使っている手帳を活用しても良いですし、パソコンでオリジナルのチェック表をつくっても良いでしょう。
ケータイのアラームを活用する方法もあります。たとえば、6時30分に「漢字の見届け」とセットします。これも簡単にして効果抜群の方法です。

このように、自分が見届けを忘れずにできるための工夫をしてください。そうすれば、子どもは継続してがんばれるようになります。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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