勉強への集中力がありません[教えて!親野先生]

【質問】

 

勉強への集中力がなくて、いつもだらだらやっています。集中すれば5、6分でできるはずのものでも、30分くらいかかります。また、勉強していてもすぐに飽きてしまって、寝転んで図鑑などを見始めます。(ひかり さん:小学3年生男子)


勉強への集中力がありません[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

ひかりさん、拝読いたしました。

同じ1時間の勉強でも集中してやった場合とだらだらやった場合では、まったく成果が違ってきますね。
集中して取り組むための具体的な方法を紹介しますので、お子さんに合いそうなものを実践してみてください。

まずは、勉強開始時に一気に集中力をアップさせることが大切で、そのためにおすすめなのが、最初に1、2分で終わる単純計算をやることです。たとえば、8+5や6+7などの基本的な足し算が100問あるプリントです。このほかにも、14-8などの基本的な引き算、九九、30÷5などの基本的な割り算などでも良いでしょう。
とにかく、子どもが1、2分で終わるプリントを作ってコピーしておき、毎日の勉強開始時にそれをやるようにします。そのとき大事なのはタイムを計って記録することです。
毎日同じプリントをやれば確実にタイムが短くなっていきます。つまり、毎日新記録が取れるのです。そうしたら、大いにほめてあげてください。
子どもは新記録を取るのが楽しみになって、今日も新記録を取ろうと張り切るようになります。そこですばらしい集中力で取り組むようになります。
同時に、脳の血流が大いにアップして脳のウオーミングアップになります。つまり、頭の働きがトップギアの状態になって一気に勉強モードに入っていくことができるのです。
このような状態になったところで宿題などほかの勉強に入っていくと、勢いに乗って集中して取り組むことができます。勉強モードに入らないまま、頭がとろーんとした状態で勉強をやっても集中はできませんね。

なお、もうこれ以上は新記録の更新が無理という段階になったら、新しいプリントに替えてあげてください。
それと、これは勉強モードに入るためのものなので1、2分でできる簡単なものにすることが鉄則です。取りかかりのハードルが低くて子どもが気軽に取り組めるということが大切なのです。親が欲をかいて難しいものにすると、叱る材料が増えるだけで意味がありません。

次に、時間の流れが目に見えるようにするスケジュールの「見える化」もおすすめです。
子どもは大人より経験が少ない分だけ、時間に対する意識が希薄です。学校から帰ってきて寝るまでの時間がどれだけあるか、あるいはどれだけしかないかということがよくわかっていません。なんとなく時間がたっぷりあるように思っているので、勉強は「あとでやる」ということにしてしまうのです。

そこで大事になってくるのがスケジュールの「見える化」です。つまり、習い事・勉強・夕食・テレビ・ゲーム・遊び・趣味・入浴・就寝、何を何時から何時までやるのかを表したスケジュールをつくることが大切です。すると、就寝時刻までにいろいろなことをこなすには、「勉強は今やるしかない」ということがわかってきます。これが締切効果になって集中力につながります。

大人でもスケジュール管理が上手な人と下手な人がいます。手帳や電子機器など何らかの方法で上手にスケジュール管理をして、時間を有効に使っている人がいる一方で、何の工夫もないまま常に時間に追いまくられている人もいます。
前者はやるべきことをしっかりこなして成果を上げ、その上で自分のやりたいことをやれて心に余裕もあります。後者はやるべきこともこなせず、かといって自分のやりたいことができるわけでもなく、それでいて常に気持ちが休まらない状態です。
つまり、前者は時間の主人で後者は時間の奴隷です。
子どもたちもこれから忙しい現代社会で生きていくわけですから、スケジュール管理のスキルを身につけていく必要があります。
これをそのきっかけにするつもりで取り組むと良いと思います。

ところで、家庭で子どもが使う場合、必要に応じて書き換えられるホワイトボードはとても便利だと思います。

また、ホワイトボードの空いているところに次のようなことを書き出しておくとさらに効果的です。

6時までに!
プリント1枚と問題集のp35!
6時から!
ゲーム1時間 ♪

つまり、その日やるべき勉強、締切時刻、ニンジンなどを具体的に書き出しておくのです。すると、さらに集中力がアップします。

次に、疲れてきたときの対処法も教えてあげると良いと思います。
集中力について書かれた本をいろいろ読んでみると、本当に集中してひとつのことに取り組める時間は大人でも15分くらいと書いてある本がたくさんあります。これは、私の実感とも一致しています。
ですから、疲れてきて能率が下がってきたら別の勉強に切り替えることも教えてあげると良いでしょう。たとえば、算数プリントを15分くらいやって疲れたら書き取りに切り替え、書き取りを15分やったら算数プリントに戻るなどです。内容を切り替えることで、そのまま集中して取り組むことが可能になります。
この方法を知らないで、算数プリントを15分やって疲れたからと休んでしまうと、あっという間に30分くらい経ってしまいます。
もちろん、15分というのは絶対的な数字ではありません。個人差もありますし、そのときの体調や内容の好き嫌いにもよります。ですから、調子が良ければ20分くらいでも良いですし、気持ちが乗らないときは5分で切り替えても良いと思います。

そうはいっても、本当にもう続かないというときもあります。
そういうときは、アラームをかけて5分間(あるいは10分間)ぼうっとする、寝る、ストレッチをするなどの方法も良いと思います。

いくつか書いてきましたが、大事なのはいろいろ工夫をすることです。否定的な言い方で叱っても何一つ解決しません。
親御さんの知っている方法を教えてあげても良いですし、親子で一緒に試行錯誤しながら考えても良いと思います。そうしていれば、だんだん子ども自身でいろいろ工夫するようになります。
もちろん、親子関係も良くなります。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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