加速する? 法科大学院の再編 実績なければ補助金削減へ

お子さんの将来の進路として、弁護士・判事・検事など「法曹」を思い描いている保護者のかたも、少なくないことでしょう。現在の新司法試験を受験するには原則として法科大学院を修了する必要があり、法曹志望者にとって、法科大学院への進学は避けて通れない道です。その法科大学院は今、全国で74校ありますが、2012(平成24)年度以降、再編が加速度的に進むことになりそうです。いったい、法科大学院に何が起こっているのでしょうか。

2004(平成16)年度から創設された法科大学院は、米国の「ロースクール」をモデルとして、実践的な法曹養成を行うために創設された制度です。当初の構想では、新司法試験合格者を年間3,000人に増やしたうえで、法科大学院修了者の約7~8割が新司法試験に合格して法曹になれるようにするという想定でした。ところが、▽「合格者を増やせば、質が低下する」という法曹関係者の反対によって、司法試験合格者数を増やせなかったこと▽予想以上に多くの大学が、法科大学院を設置したこと……の二つが誤算となり、法科大学院修了者全体の新司法試験合格率は低迷を続け、11年(平成23)は23.5%と、過去最低を記録しました。
このため文部科学省などは、全国の法科大学院に対して、定員削減や他大学との統合再編など、規模の見直しを行うよう求めました。これによって全国の法科大学院の定員は、2007(平成19)年度に5,825人だったものが、11(同23)年度は4,571人まで減少。また今年8月には、桐蔭横浜大学法科大学院と大宮法科大学院が、法科大学院として初めて、統合計画を発表しました。

しかし、これでもまだ法科大学院が多すぎるため、文科省は、新司法試験合格率が全国平均の半分未満の状態が3年連続し、かつ大学院入試の受験倍率が2倍未満の法科大学院に対して、2012(平成24)年度から補助金を大幅に削減することにしました。
現在、補助金削減の対象となるのは、74校中6校(うち2校は統合予定)の見通しです。ただ、新司法試験の合格者数(2011<平成23>年は2,063人)が大幅に増えない限り、今後、法科大学院を修了しても新司法試験に合格できない者が増え続けるのは、明白です。実績の出せない法科大学院に対する補助金削減がスタートする12(平成24)年度以降、さらに法科大学院の再編が進むことは確実でしょう。

法科大学院に関連するもう一つの問題は、修了後5年以内に3回しか新司法試験を受けられないという制限があることです。すでに修了後5年が経過した2005(平成17)年度修了者全体の新司法試験合格率は、69.8%でした。まずまずと言えそうな結果ですが、続く06(平成18)年度修了者は49.6%と、5割を切っています。
新司法試験の合格率は法科大学院ごとに大きく異なるうえ、法学部出身かどうかでも違ってきますが、全体平均で見れば、お金と時間をかけて法科大学院に進んでも、結局のところ2人に1人しか法曹になれないというのが現状のようです。法科大学院の本来の趣旨が実現するまでには、もう少し時間がかかりそうです。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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