もっと早く読みたかったです。まだ間に合うでしょうか?[教えて!親野先生]

【質問】

 

親野先生の本を読んで、もっと早く読みたかったという気持ちでいっぱいです。先生が「やってはいけない」とおっしゃることばかりやってきました。そのせいか、子どもはやる気がなく親子関係もぎくしゃくしています。もうこれからは否定的な言い方はやめます!! そして、もっと子どもをほめてあげたいです。あー、でも、まだ間に合うでしょうか? (草花さん:小学6年生女子)


もっと早く読みたかったです。まだ間に合うでしょうか?[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

草花さん、拝読いたしました。

気付いたときが始めどきです。始めるに遅すぎるということはありません。
もっと早く気づけばよかった、もっと早く読みたかった、そういう気持ちになるのはよくわかります。
でも、もともと人生はそういうことの連続です。
もっと勉強しておけばよかった……。
こうしておけばよかった……。
ああしておけばよかった……。
こういうことをまったく思わない人がいるでしょうか? もしいたとしたら、その人は成長・進歩と縁のない人だと言えます。振り返って悔やむからこそ、人は成長・進歩することができるのです。

はじめから完璧な人はいませんし、はじめから完璧な親もいません。みんな手探りで進んでいるのですから。うまくやっているように見える人でも、しっかりやっているように見える親でも、みんな心の中では後悔と反省の連続なのです。
もちろん自分を振り返って反省することは大事です。でも、それが行き過ぎるあまり無力感にとらわれてしまっては元も子もありません。

ここで無力感にとらわれるのではなく、自分が変わるための転機にしてほしいと思います。大事なのは、もう後戻りしないという不退転の一大決心をすることです。本当に心に深く決心してください。
そして、一大決心をすると同時に、今の気持ちを忘れないで決意したことを続けるための方法を工夫することが大切です。
というのも、人は決意したことを忘れずに続けるのが苦手だからです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざの通り、人間は忘れっぽいのです。そのときは熱い気持ちでいても、やがて薄れてしまうのが人間です。ですから、決心を忘れないための工夫や実行し続けるための工夫が大切なのです。
まずは、本を読んだ感想や今の気持ちを文章に書いておくとよいと思います。そして、ときおり読み返すのです。そうすれば、熱い気持ちを思い出すことができます。
ある人は、本を読んでいて気に入ったフレーズがあるとワープロソフトで抜き書きしてケータイに転送しているそうです。ケータイに入れてあると、いつでも読めて気持ちが新たになるそうです。

次に子どもをほめるための工夫ですが、「もっと子どもをほめよう」という決意ではまだ漠然としていると思います。漠然とした決意では、毎日の忙しい生活のなかでつい忘れてしまい実行できなくなります。
そこで、ケータイのアラームを使う方法をぜひやってみてください。
「一日一回、必ず○時にほめる」と決めて、その時刻にケータイのアラームをセットするのです。そのアラームが鳴ったら一生懸命ほめるネタを探して、1時間以内にほめるようにするのです。人間は忘れても機械は絶対忘れません。解除しない限りずっと教えてくれます。
私は本や講演でこの方法を紹介しているのですが、けっこう気に入って実行し続けているかたもたくさんいるようです。ぜひ、草花さんもやってみてください。

次に否定的な言い方をなくす方法です。
静岡県のあるママさんは、自分でがんばり表を作って否定的な言い方をしなかった日には花丸をつけるようにしているそうです。1週間できたら自分にごほうびをあげるとのことです。
つい否定的な言い方で言ってしまったら、あとで反省してもっとうまい言い方を考えるようにするとよいと思います。できたら、日記などに書いておくとよいですね。そうすると、自分の言葉の傾向とそのための対策が目に見えてわかるようになります。
ある民放のアナウンサーは、放送のとき言い淀んだり言い間違えたりしたところをその日のうちに書き出して練習しているそうです。それがたまってくると、自分のミスの傾向もわかってくるし同じミスを繰り返さなくなるそうです。こういう人は伸びるでしょうね。

あるいは、この際ですからちょっと時間を取って、自分がつい言ってしまうまずい言葉をリストアップしてみるのもよいかもしれません。そして、その言葉の下にもっとうまい言い方をいくつか書いておくのです。つまり、自分のための翻訳辞典、言い換え集です。


ちゃんと片づけなきゃダメでしょ

さあ、○分で片づけるよ。用意、ドン
○○をがんばったね。じゃあ、一緒に片づけよう
片づけたら夕飯にしよう。今日はおいしい○○だよ
片づけないとくすぐるよ

自分がいつも言う言葉はだいたい決まっていますから、それほどたいへんな作業ではないと思います。

あるいは、これを子どもと相談しながら作業するのもよいですね。
これは小学6年生と中学2年生の女の子のママさんが実行した方法です。まず、子どもたちに親から言われて嫌な言葉を挙げてもらいます。次に、「こう言ってほしい」という言葉を言ってもらったり、子どもが思いつかない場合は親子で一緒に相談したりしながら言い換え集をつくったのです。
さらに、親が子どもに言われて嫌な言葉と、こう言ってほしいという言葉についても同様に言い換え集をつくりました。子どもたちが思春期でもあり、親も子どもから「別にー」と言われるのが嫌だったのです。
このように親子で相談する時間を持つだけでも、言葉についての意識がお互いに高まると思います。また、せっかく言い換え集をつくったら、それを目につくところに貼っておくとよいですね。

いくつか例を挙げました。
これらの方法を真似してもよいですし、何か別の方法でもよいと思います。とにかく、何らかの具体的な方法を実行してください。
そして、すぐに良い結果が出なくても、もとに戻らないようにしてください。結果が出るまでには時間がかかることもありますから。でも、進む方向さえ変えなければいずれ結果はついてきます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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