自分の物をよくなくします[教えて!親野先生]

【質問】

 

子どもが自分の物をよくなくします。帽子や傘はいつもどこかに置いてきます。先日は、友達の家に大好きなヨーヨーを持っていって、そのまま忘れてきました。「これから気を付ける」と何度約束したかわかりません。約束したその日の午後に近くのコンビニに行って、そこで買った物をそのままレジに置いてきました。(ちゅらラーメンさん:小学4年生男子)


自分の物をよくなくします[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

ちゅらラーメンさん、拝読いたしました。

親としては心配になると思いますが、結論から言えばまったく心配は要りません。このようなことは、ごく当たり前で普通のことです。同じような子がどのクラスにもたくさんいます。
本当にたくさんいるんですよ! 私が教えた子の中にもたくさんいました。
1か月おねだりしてやっと買ってもらったDSを、あっさり電車の中に忘れてきた子もいます。修学旅行で買ったお土産をすべて新幹線の中に置いてきた子もいます。冬場になれば、子どもたちが脱いだまま忘れてしまった上着・セーター・手袋などが学校中にあふれます。

特に男の子ではこういう子はたくさんいます。もともと男性の脳はそういうようにできているそうです。
はじめはAについて意識が行っていて、次にBに意識が行ってそちらに集中するともうAのことはすっかり丸ごと忘れてしまいます。物をなくして叱られたときも、そのときは本気で「これから気をつけよう」と決意しますが、そのあとで何か別のことに意識が行けばその決意については忘れてしまうのです。
男性の脳は、女性の脳のように物事を同時進行で行えないのです。そして、女の子でも男の子型の脳を持っている子も何割かいて、そういう子はやはり男の子のような行動になるとのことです。

親としては、このまま大人になって大丈夫なのかと心配になると思います。
でも、心配は要りません。多少は引きずるかもしれませんが、大人になればそれほど大きな問題ということにはなりません。
大人になれば自己管理力が高まります。経験値も高くなり、うっかりしがちな自分をうまくコントロールするコツもわかってきます。そういう子の一人であったM君は今市役所で立派に働いています。

それに何でも長所と短所はコインの表と裏です。こういう傾向は別の面で長所でもあるのです。
こういう傾向がある子は、一つのことに熱中できるというすばらしい面を持っていることが多いのです。それによって、集中力が発揮されて成果が上がりますし、高い創造力を発揮することも多いのです。これは、勉強においても学力アップの大切な要素と言えます。
また、これは大人が仕事においてその道を究めていくための要素でもあります。世の中で天才と言われる人たちの多くはこういう特質を持っています。

ということで、長い目で見てあげてください。そして、今できることをしてあげればそれでよいのです。

一つには、持ち物の紛失や忘れ物を防ぐ具体的な工夫をすることです。たとえば、口に出して10回言う方法は手軽ですぐできます。「帽子を持ってくる。帽子を持ってくる……」と10回言うのです。声に出して10回言うとけっこう頭に残ります。
ふせん紙や手に書いておくのもよいですね。あとは、持ち物に名前をつけておくことも大切です。それと、本当になくして困る物ははじめから持たせないことです。これが危機管理の究極です。
あるいは、物によっては、なくしたらどうするかということをあらかじめ考えておくことも大切です。これも危機管理の発想です。
そのほかにも、いろいろ工夫してみてください。何か問題があるとき、親が合理的な方法を工夫して助けてあげたり、あるいは親子で相談して工夫したりすることが大切です。
これをしていると、子どもも何か問題に直面したとき、合理的な方法を工夫して解決しようとする精神が養われます。これは、とても大切な教育になります。

それと、言葉には気を付けてください。次のような否定的な言い方はしないことです。
「何度言われたらわかるの? 気をつけなきゃダメでしょ」
「なんでそんなにだらしがないの!」
「そんなにうっかり屋でどうするの?」
このような言い方で叱られても、それで直るということは決してありません。それどころか、「……しないとダメでしょ」などの否定的な言い方をされることが多いと、自分はダメだと感じるようになってしまいます。また、「だらしがない」とか「うっかり屋」などの決めつけは人格を否定する言葉ですから絶対に言わないようにしてください。

そして、一応できることをしたらあとは目をつむってください。実際、そんなにものすごく困るということはありませんから。大概、何とかなりますから大丈夫です。
そこには目をつむって、ほめられるところを大いにほめて伸ばしてあげてください。苦手なところをつついても良い芽は出ません。加点主義でたくさんほめて、毎日生き生き生活できるようにしてあげてください。そうすれば、どんどん良いほうに伸びていきます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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