厳しくしすぎたのか子どもが口を利かなくなりました[教えて!親野先生]

【質問】

 

息子は友達に貸すためにゲーム機とソフト5本を学校に持って行き、先生に取り上げられました。1週間後に親子で学校に行き、以後親子で決まりを守る約束をして返してもらうことになりました。でも、私は持ち込み禁止になっているのを知りつつ決まりを破った息子が許せませんでした。それで、学校に行ったとき先生に謝って決まりを守る約束もしましたが、ゲーム機とソフトは半年先生に預かってもらうことにしました。でも、それから息子が私と口を利かなくなりました。ちょっと厳しくしすぎたかなという気持ちと、いやこれで良いのだという気持ちの間で揺れています。(フェイスバック さん:小学6年生男子)


厳しくしすぎたのか子どもが口を利かなくなりました[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

フェイスバックさん、拝読いたしました。

親としては、平気で決まりを破る子にしたくないという気持ちがあると思います。こういうことが二度とないように厳しくして、決まりを守らせたいという気持ちです。
ただ、少し行きすぎたかもしれませんね。
何でも適度な落としどころというものがありますから。

学校側は1週間が適度と判断していたわけです。それを、わざわざ親から言い出して半年ということにしたのですから、子どもにしてみれば「なんで?」という気持ちになると思います。
親に叱られる前に、子どもは既に学校でもかなり叱られているはずです。そのうえ、さらに親が学校以上に厳しい半年と言い出したのですから、子どもは「なんで?」と思ったことでしょう。
半年と言えばかなり長い期間です。半年もゲームができないとなると、子どもにはかなりきついでしょう。

これは大人でもそうですが、ある行動に対して行きすぎた罰を受けた場合、自らの行動を反省するよりもその罰の理不尽さに怒りを覚えるものです。この子は今そういう状態だと思われます。
そもそも思春期に入ったこの年代では、それ以前のように親や先生が言うことを絶対的に守るということはなくなります。それが成長というものです。
場合によっては、あえてやってみたくなることもあります。また、友達同士のやりとりでそれが必要になってくることもあります。親や先生より友達のほうが大事になってくるからです。これもまた自然なことです。

そういうなかで、ときにはやりすぎてしまったり、それが親や先生にばれてしまったりすることもあります。そして、適度に叱られたり適度な罰を受けたりしつつ、加減を学んでいくのです。それが失敗によって学ぶということです。
親も先生も、子どもは失敗によって学ぶということを頭に入れておく必要があります。子どもが失敗したときは、その程度に応じた指導をすればそれでよいのです。厳しすぎても甘すぎてもいけないので、難しいことではありますが……。

一つひとつの子どもの失敗を必要以上に大きく考えすぎないことも大切です。子どもの失敗を必要以上に大きく考えすぎると、親は「今回のことで骨身にしみてわからせて、二度としないように厳罰に処すべきだ」と考えてしまいます。そして、子どもから見て理不尽なくらいの罰を与えてしまいます。
すると、先ほども書いたように、子どもの気持ちはその罰の理不尽さに集中してしまいます。そして、反抗的な気持ちでいっぱいになり、自らを反省する余裕がなくなってしまうのです。
自らを反省するには気持ちに余裕がなくてはなりません。
このご相談の場合、1週間後に親が一緒に謝ったうえでゲーム機などを返してもらっていれば、子どもは気持ちに余裕が出たはずです。「これからちゃんと決まりを守りなさいよ」「うん、ごめん」くらいの会話で十分だったかもしれません。そうすれば、自分を反省し、親にもすまないと感じるようになったと思います。

それに、あまり厳罰がすぎると子どもは親に見放されたと感じるようになってしまいます。もう見捨てられたかも、もう大切にしてもらえないかも、という気持ちです。すると、なんとなくそんな感じがしてきてしまいます。
それに、あまり厳罰がすぎる親だと、子どもは絶対ばれないようにしようと考えるようになります。いろいろなことを隠れてするようになり、それが習い性になります。

さて、ご相談のケースですが、これから半年の長きに渡って今の重苦しい状態が続くのは良いことではありません。この状態を変えて明るく生活できるようにする必要があります。
でも、振り上げた拳の下ろし方が難しいと感じるかもしれません。半年と言ってしまったことで、妙な意地もありますし、途中で妥協するのは何か負けたような感じがするかもしれません。
でも、親子に勝ち負けの意識は不要です。親子に勝ちも負けもないのです。つまらない意地は不要です。そんなものは丸ごと飲み込む大きな愛の器で臨んでください。そして、これから良い方向に進む方法を考えてください。

親がもう一度学校に行って返してもらえばよいと思います。先生に事情を話せば返してくれるはずです。
そして、親から子どもに返すときの言い方もいろいろ考えてみてください。
「お母さんちょっと頭にきてたから……。半年は長すぎだったね」
「もう十分反省してくれたから返してもらってきたよ。これから気を付けようね」
このような感じでいかがでしょうか。
できたら、言い渡した罰が厳しすぎたことを親が素直に謝れると良いですね。そういう親に対して、子どもはかえって信頼を寄せるものです。
ぜひ、そうしてあげてください。
また、「お母さんも、子どものころ○○をして叱られて……」というように、自分が子どものころの失敗談を話してやるのもよいかもしれません。こういう話は子どもとの距離をグッと縮めてくれるので大いにおすすめです。
大人の知恵と誠意で、うまく雪解けできるように持って行ってください。それも親の大事な仕事です。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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