真冬こそ、運動で脳の活性化を!

年が明けましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? お正月にお餅や御節料理を食べ過ぎて、身体が重いと感じているかたも多いのではないでしょうか? 毎年この時期はお正月においしいものを食べるうえに、寒さが厳しくなり、運動不足になりがちです。「まあ、この時期は仕方がない」そう思う気持ちもわかります。しかし、実は人間の身体は、この時期にこそ、運動を求めているのです。

人間の血管の収縮は、自律神経の交感神経というところでコントロールされています。交感神経は、人間が活動をしている時に、外的な変化から自らを守ろうとする時に働く神経です(ちなみに睡眠中など、身体を休ませようとして働く神経を副交感神経といいます)。寒い時には手足が冷たくなります。これは生存に大切な脳や体幹を守るために、交感神経が指令を出し、その結果、血管が縮み血行が悪くなって、皮膚まで運ばれる血液が少なくなったために起こる現象です。このように、人間の身体は寒くなると、寒さから身体を守るために血行が悪くなってしまいます。前回のコラムでも触れましたが、血管が収縮し血行が悪くなると、脳の働きも鈍ってきます。そして、血行を良くするためには運動が必要です。わたしが「寒い時こそ運動が必要」と言う理由はそこにあるのです。

前回、受験勉強中に適した運動をいくつかご紹介しました。またその中で、ストレッチが血行を良くするうえで効果的なことにも触れました。今回は、より簡単に室内で行えて、身体も活性化し、続ければダイエットにもつながる運動を紹介します。


血行を良くして脳を活性化、筋力アップやダイエットにも効果的な運動法

最初は、スクワットです。スクワットというと、プロレスラーを始め筋肉隆々のスポーツ選手のトレーニングというイメージがありますが、やり方によっては誰でもできる手軽な運動なのです。
まず、両手を頭の後ろに回して組んでください(両手を頭の上に乗せるだけでもOKです)。脚を肩幅より少し広めに開きます。背筋を伸ばして真っ直ぐ前を向きます。その状態で息を深くしながら膝(ひざ)をゆっくり曲げ伸ばしします。スポーツ選手は、膝を90度近く曲げますが、そんなに曲げる必要はありません。最初は、20度か30度くらいで十分です。ゆっくり曲げて、ゆっくり伸ばす動作を10回行ってください。「イチ、ニ、サン」と声に出して回数を数えると自然に息を吐く状態になるので、それも良いでしょう。スクワットは血行を良くすることはもちろん、腿(もも)やお尻の筋肉も鍛えられ、長く続ければ脂肪燃焼などダイエットの効果もあります。身体を鍛えようとして無理をする必要はありません。自分の体力に合わせて脚を曲げる角度を変えてください。

次は、股関節の周囲にある腸腰筋を鍛える運動です。以前にも説明したように、腸腰筋は股関節を動かし腿を引き上げる時に使う非常に重要な筋肉です。まず肘(ひじ)掛け椅子に座ってください。肘掛けを両手で持って、身体をしっかりと支えます。そして、その状態で少し腿を上げて、脚を上げ下げしてください。脚は無理して高く上げる必要はありません。「イチ、ニ、サン」と回数を数えながら、脚の曲げ伸ばしを10回行います。この運動もスクワット同様、血行を良くします。


運動はぜひ、親子一緒に!

今回は運動をするのが寒くておっくうな真冬に効果的な運動を2つ紹介しました。2つとも身体に負担をかけずに行えて、さまざまな効果が期待できます。大切なのは少しずつでも続けることです。まずは気候が暖かくなる4月まで毎日続けてみてください。最初は1日それぞれ10回。慣れてきたら10回を3セットくらいに増やしてみてください。毎日続けていれば、春までには驚くほど効果が出ていると思います。
そして、この運動を長続きさせるためにもぜひ親御さんもお子さんと一緒に行ってください。運動不足の家庭は保護者のかたが運動が苦手というケースが多いものです。軽い運動を親子のコミュニケーションの場ととらえて、お互いに声をかけあいながら、少しずつ、しかし長く続けるよう心がけてみましょう。


プロフィール

深代千之

深代千之

東京大学大学院 総合文化研究科 教授。(社)日本体育学会理事、日本バイオメカニクス学会理事長、日本陸上競技連盟元科学委員。文部科学省の冊子や保健体育教科書の作成にも関わる。*主な著書:「運動会で1番になる方法」「運脳神経のつくり方」など

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A