読書感想文を書く【前編】 本を選ぶ

夏休みの宿題について、自由研究と同じくらい相談が多いのが「読書感想文」に関するもの。お子さまの今年の読書感想文、進捗はいかがですか?

以前、Benesse教育情報サイトで行ったアンケートによると、読書感想文を8月20日までに書き上げる子どもは50%強という結果でした。今まさに読書感想文に取り組んでいるという子も多いことと思います。

読書感想文に関する相談で多いのが、「うちの子に合った本の選び方」と「感想文の書き方」について。この2つにしぼって前・後編でお届けします。


読書感想文のための本の選び方

以前のアンケートによると、子どもの学校から「あらかじめ指定の本がなかった」という方は約10%。90%は学校の指定や推薦図書があったことになります。「指定や推薦の本があったけれども選ばなかった」子は56%で、全体の6割以上が自由に本を選んだことになります。

自由に本を選ぶといっても、「読書が大好き!」という子以外は、けっこう難しいですよね。
そこで、「青少年読書感想文全国コンクール((社)全国学校図書館協議会・毎日新聞社)」を主催する(社)全国学校図書館協議会 理事長の森田盛行さんに「子どもに合った本の選び方」についてアドバイスをいただきました。


子どもに合った本の見極め方

一概に「子どもに合った本」といっても、どういう本が合っているのか、具体的に言える方は少ないのではないでしょうか。子どもに合った本を選ぶ第一歩は、日々の様子を振り返ってみること。
・これまでの読書歴を振り返る
・好きなジャンルの本を選ぶ

お子さまがこれまでに読んできた本を思い返してみましょう。どんな本が多かったか、読書歴が浅い子でも何らかの傾向が見えてくるはずです。例えば、伝記が推薦図書だったとしても、伝記にまったく興味がない子に押し付けるのは考えもの。読書歴を振り返って、お子さまが楽しそうにしていたり、熱中して読んでいた本と同じジャンルの本を選ぶのがよいでしょう。


読書にあまり興味がない子の場合には……

読書がそれほど好きではないお子さまの場合、読書歴が思い浮かばない方もいらっしゃるかもしれません。その場合には、その子の生活ぶりを思い出してみましょう。例えば、星を見るのが好きな子であれば、宇宙関連の科学的な本やニュースで話題になった時事ネタ(○○流星群、はやぶさなど)を扱った本など、少々視点を変えて選んでみてはいかがでしょうか? いくつかのジャンルから「こんな本はどう?」とお子さまと話し合いながら選んでみると、読書感想文を書く段階で役に立つと思います。

それでも、お子さまに合った本が思い浮かばなかった場合は、どうすればよいのでしょうか?

小学校低学年のお子さまであれば、読み聞かせしてあげたり、一緒に読んであげたり、というのも効果的。自分で読むのが苦手な子でも、読み聞かせであれば、物語が楽しめますよね。
また、親子が同じ本を読むことで、会話が広がったり、保護者の質問に子どもが答えたり……と読書感想文の種がたくさんできることでしょう。そこから、本の世界に想像力を働かせてみたり、登場人物や物語の背景に興味が広がったりするかもしれません。


読書感想文用の本は1冊だけではない?

子どもが興味ありそうな本を選んで読ませてみる─この段階では、まだ本選びが終了したとは言えません。 読書が好きでない子の場合、最後まで読み通せないこともあるからです。

森田さんによると、その境目は3ページ目だとか。ここを超えると読書の楽しさがわかってその後はどんどん読み進められるようになることが多いそうです。
お子さまが3ページまで読めない場合は、前述のように、一緒に読んだり、ゲーム感覚で音読したりしてみましょう。それでも興味が持てなそうな場合には、本を変えるということも必要です。そのためにも、保護者の頭の中に、候補を何冊か用意しておくことが大切です。


読書感想文で表現力を磨く!

学校からの宿題だから、「読書感想文=義務」ととらえていらっしゃる保護者も多いのではないでしょうか?読書感想文の書き方をお子さまに一(いち)から指導して、「親への宿題のように思える」という保護者もいらっしゃいました。

読書感想文が宿題として出される理由は、読書が楽しいものだと知ってほしい、本を好きになってほしい、読書の幅を広げてほしいという教育目標によります。読書感想文を書くことで、考える力が育まれ、自分の考えを論理的にまとめ、誰かに伝える=表現する力が育まれるのです。
読書感想文をきっかけに、お子さまの表現力を磨くことに挑戦してみませんか?

そして、読書感想文を書くために大切なこと。選んだ本は、最低3回は読みましょう。続きは後篇でお届けします。


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