夏休みを有意義に過ごすには?【後編】[教えて!親野先生]

今週の相談

 

子どもが有意義な夏休みを過ごせるようにするには、どうしたらいいでしょうか? 去年も一昨年も、ダラダラしているのを見て叱ることが多かったです。宿題以外にも勉強させたいのですが、いつも宿題すらイヤイヤやる状態です。子どもがやる気を持って有意義な夏休みを過ごせるようにするには、どうしたらいいでしょうか?(ベスさん)


夏休みを有意義に過ごすには?【後編】[教えて!親野先生]

 

【親野先生のアドバイス】

前回に引き続き、ベスさんへのアドバイスです。

子どもが「やる気を持って有意義な夏休みを過ごす」ために、私が一番おすすめしたいのは次のことです。
それは、子どもがやりたいことを思い切りやらせてやることです。
そして、それを親がバックアップしてさらに深めさせ、同時に大いにほめてやることです。
子どもが普段から好きでやっていること、やりたいと思っていたけどできないでいたこと、こういうことをたっぷりやらせてやってください。
昆虫・動物・植物・お絵描き・粘土・砂遊び・ブロック・工作・ダンス・歌・スポーツ・将棋・囲碁・手品・パズル……なんでもいいのです。

さかなクンのお母さんは、さかなクンが魚に興味を持った時、魚がいるありとあらゆるところに連れて行ってくれたそうです。
あるお母さんは、動物のウンコを集めるのが好きな子に顕微鏡を買ってやりました。
その子は、それから毎日朝から晩まで顕微鏡で動物のウンコを見るようになりました。
私が教えたある男の子は、日頃から金魚を飼うのが趣味でした。
夏休みに、親が水族館の金魚講座に連れて行ってくれて、学芸員に金魚の産卵とふ化について教わりました。それで、実際に自分の家で挑戦して見事に成功しました。
その一連の過程をノートにまとめて、自由研究にしました。
同じく教え子のある女の子は、お絵描きが大好きでした。それで、夏休みには、毎日色鉛筆でお絵描き帳に好きな絵を描きまくりました。
親が県立美術館に連れて行ってくれて、そこで本物の名画をたくさん見ました。その時名画の絵はがきを買ったので、家でそれをまねして描いたりもしました。

こういう例を見ていて、つくづく思うことがあります。
それは、子どものやりたいことを親がバックアップしてさらに深めさせ、同時に大いにほめてやることがいかに大切かということです。

実は、親のバックアップがないと、子どもは大して深めることができないのです。何かを深めるには、そのための情報・実行力・費用・時間など、いろいろなものが必要です。子どもだけでは限界があるのです。
ですから、いくら興味のあることでも、親のバックアップがなければ「ほかの子より少し得意」で終わってしまうのです。
でも、親が上手にバックアップすれば、「誰よりも得意」なレベルまでいくことができます。
別に、それを職業にするとか、一生の生きがいにするなどということでなくてもいいのです。
途中で興味の対象が変わるのは、人として当たり前のことです。
でも、以前の熱中体験は必ず次に生きます。何かに熱中している時頭が鍛えられますし、「これは誰にも負けない」と思えるようになることで自分に自信がつきます。
熱中する喜びを味わい、熱中の仕方と深め方を身に付けることで、自分でやりたいことを見つけて実行する能力が身に付きます。
これこそ、子どもの時に身に付けるべき一番大事な土台です。
これこそ、「後伸び」のための土台です。
こういう土台がある人は、真に豊かな人生を生きることができます。
真に有意義な人生、真に豊かな人生、それは自分の人生を自分で生きる人生です。

どの子にも好きなことや興味を持てることはあります。
でも、親は自分の価値観にとらわれているのでそれを価値あることと思えません。せっかく芽吹いた子どものよい芽は、花開くことなくしおれることがほとんどです。
なんとも、もったいないことです。

現代は、本当に自分らしく生きるのが難しい時代です。
でも、子どもはいつでも新しい希望をもたらしてくれます。
幼い子どもをよく見れば、どの子も自分らしく生きたいと願っているのがわかります。
成長するに連れ、大人からの影響が強くなり、自分らしく生きたいという願いを抑えるようになります。

でも、私は、今の日本社会のありようが、そろそろ限界に達しているような気がします。
他人が基準になり、いつも駆け足状態で競争しているこの社会は、もう限界だと思います。
みんな薄々気付いているのではないでしょうか。こんな空しいことはいつまでも続けられない、と。
本当に、こういうストレス過多の状態を、いつまでも続けられるはずがありません。そろそろ価値観の揺り戻し、価値観のUターンがあるのではないでしょうか。
自分の大切な人生を、他人の基準で生きる必要はありません。
自分の人生は自分のものなのです。
他人の「有意義」よりも、自分にとっての「有意義」を見つけるべきです。

子どもの夏休みも同じです。
親の「有意義」よりも、子ども自身の「有意義」を大切にしてあげてください。
なぜなら、子どもの人生は子どものものだからです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。



「共感力」で決まる!(単行本)親野智可等(著) 講談社 ISBN-10: 4062152797
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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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