夏の自由研究・読書感想文4 読書感想文、6割以上が自由に本を選んでいる

夏休みの宿題として、自由研究と並んで多く取り組まれるのが読書感想文。コンクールがあったり、校内での賞があったりするなど、多くの学校で宿題となっていることから、今回もアンケート対象者の約3分の1が読書感想文に取り組んでいました。

アンケート期間 2008/09/8~2008/11/7 回答者数:10,107人中、読書感想文の宿題があった3,377人
アンケート対象:全国の本サイトメンバー
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。

読書感想文の本は、約6割は自由に選んでいる

まず、子どもは読書感想文を書くための本をどのように選んでいるのでしょうか。毎年、「本が決まらない」「よい本がないかな」という声をお聞きします。課題図書や推薦図書が発表されているにも関わらずそういった声が多いのは、「うちの子にとっておもしろいもの」「うちの子の興味に合ったジャンルのもの」があると、積極的に取り組めると思うのだけど……という保護者のかたの思いがあるからでしょう。

図1では、実際に題材として選んだ本について伺いました。あらかじめ指定の本がなかった、という割合は約10%で、90%は指定や推薦の図書があったということになります。あえて指定や推薦のものを選ばなかったのは56.1%。全体数からすれば、60%以上は自由に本を選んだことになります。

【図1 感想文を書いた本は、学校の指定図書・推薦図書に入っていましたか?】
図1 感想文を書いた本は、学校の指定図書・推薦図書に入っていましたか?

では、読書感想文の題材としてその本を選んだ理由について見てみましょう。すると、大部分がお子さまが読みたがった、お子さまが決めた、というものでした。感想文を書く本人が選ぶのがいちばん、ということですが、中には次のようなご家庭もありました。

  • 窓ぎわのトットちゃん……自分が好きで、一度読んでほしかったので子どもにすすめた中の一冊。子どもが今まで読んだ本の中で一番楽しかったそうです。
  • 赤毛のアン……私自身が、とってもお気に入りの本なので娘にもすすめました。
  • 生きるんだポンちゃん…書店で、本人が表紙を見て興味を持ったのと、親の私が、感想文が書きやすそうな内容だと思ったから。
  • 山古志村のマリと三匹の子犬……神戸に住んでいるので、地震のことをいろいろ考えてもらいたかった

保護者のかたが、ご自分の好きだった本、お気に入りの本を「そろそろ読めるかな」と考えてすすめる、というのもなかなかよいものです。親子の間で同じ本についてどう思ったか、どう感じたかを話し合うことで、本を読む楽しさをより深く味わうことができそうです。

また、低学年に多く見られましたが「感想文を書くことに困らないかどうか」「お子さまの読解力に見合っているかどうか」も考えて目をとおして選んだ、というご家庭もありました。確かにお子さまがどんなに興味があっても、難しすぎるものは避けたほうがよいでしょう。
また、題材を選ぶ時に、お子さまに考えてほしいテーマを選んだりすすめたりしたという声もありました。地域で起こった天災についての問題、また環境の問題、社会問題などを取り上げた本を選んだそうです。

子どもが選んだ本を読んでいない保護者が約4割

さて、読書感想文をきっかけに親子で同じ本を読んで感想を話し合ったり、本でとりあげられた題材について理解を深め、興味を持って好奇心を広げたりすることは、読書を楽しむうえで有効な取り組みです。そこで、今回お子さまが読んだ本について、保護者のかたは読んだのかどうか、伺ってみました。すると、意外なことに、「全部読んだ」と回答した保護者は55.3%。2割の保護者は「まったく読まなかった」と回答し、「ところどころ読んだ」も2割でした。
理由として、「子どもが借りてきた本なので、すぐに返さなければならなかった」「子どもが読み終わるまで子どもに持たせていたら、夏休みは終わってしまった」など、事情はいろいろあるようですが、少し意外な結果です。別の質問で「お子さまの読んだ本の題名を教えてください」とお聞きしたのですが、そこでも「わからない」という回答がありました。

お子さまが嫌がる場合は別ですが、保護者が同じ本を読み、意見や感想を話し合うことができれば、読書感想文がなかなか書けない……というお子さまの相談にも乗りやすくなるのではないでしょうか。

【図2 あなた(保護者)自身は、今回お子さまが読書感想文で読んだ本を読みましたか?】
図2 あなた(保護者)自身は、今回お子さまが読書感想文で読んだ本を読みましたか?

子どもが助けを求めれば、保護者もアドバイスを

では、次にお子さまが保護者に助けを求めてきたポイントについて具体的な例を紹介しましょう。
大きくは、「漢字や言葉遣い、文章表現について」「感想文の書き方」「書く内容について」「読み取りや、自分の考えの整理について」というのが主なものでした。特に、読書感想文を初めて書く場合、まず書き方から保護者のかたが説明をした、という回答が多くありました。

「漢字や言葉遣い、文章表現について」
  • 句読点をつける場所
  • 文章のちょっとした言い回し
  • 文としてつなげることができないので、心に残った部分を聞き出し、助言しました
  • 「おもしろかった」「すごいと思った」くらいしか気持ちを表現する言葉が出てこなくて苦しんでいた
  • 自分の気持ちをどんな形容詞で書けばよいのか時々思いつかず、その都度相談されました

「感想文の書き方」
  • 感想文の意味がイマイチわかっていなかったので、そこから説明した
  • 起承転結など『チャレンジ』のアドバイスに沿って書こうと考えすぎていたので、「型どおりでもなくてよいんだよ」と教えた
  • 原稿用紙3枚分も書くことがないらしく、父親が「起承転結」を教えていた
  • 感想文を書くことが初めてだったので、どのように、どう書いたらよいのかわからないようだった

「書く内容について」
  • 感想文の出だしをどうするか、悩んでいました
  • もう書くことがないと言ってきた
  • 感想が少なくほとんどがあらすじだったのでアドバイスをした
  • 書きたいことが多く、どこを削ればよいかを聞いてきたので、助言した
  • 自分の体験、具体例を挙げる際にその知識が正しいかの確認

「読み取りや、自分の考えの整理について」
  • 何度読んでも飽きないくらい気に入ったお話なのですが、肝心の「このお話のどういうところが好きなのか?」というのがはっきりせず、困っていました。子どもと話をしていくうちに、内気で泣き虫な主人公が成長していくところが好きなのだとわかりました
  • ノンフィクションは初めてだったので、どのようなアプローチをすればよいか、困っていた
  • 何回も読まないので、まずそれを促した。自分の立場に置き換えたり、想像したりするように促した
  • 書いているうちに、話がこんがらがってきたので、何度も下書きを書き直させ、私がそれを読んで子どもに聞かせた。それを聞いて子ども自身がおかしいと感じるところがあれば、書き直すように言った

これらの回答のように保護者のほうでも、相談に乗ったり、推敲(すいこう)したり、考えをまとめる話し相手になったりとさまざまなフォローをしています。保護者が直接アドバイスするほかには、過去の読書感想文コンクールで賞をとった文章を読ませたというかたや、教材などで書き方を飲み込ませた、というかたもいました。
特に初めてのお子さまや、あまり得意でないという意識があるお子さまの場合は、書き始める前に読書感想文の書き方についての説明や確認などをすることをおすすめします。

さて、せっかくの夏休みの宿題、自由研究についても、よい体験にできるようにBenesse教育情報サイトでもテーマ選びや、調べ方・まとめ方のコツ保護者のフォローのしかたについて取り上げていきます。自由研究の動画もご覧ください。

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