過保護だと言われます【前編】

そして、手をかけてもらうことで自分の存在が歓迎され愛されていることを実感し、親に対する信頼感も生まれるのです。

風邪や勉強の例を挙げましたが、同じことがすべてに当てはまります。
「子どもの足をもむのは甘やかしだ。親がそんなことをすれば、子どもは王様のように感じ、なんでも自分の思うとおりになると考えてしまう」と言う人もいます。
こういうことは、大人による上から目線の理屈としてよく言われます。

でも、実際はそうはなりません。
反対に、そうしてもらった子どもは、親の足をもんでくれたり肩をもんでくれたりするようになるのです。

「宿題をやっていかなければ先生に叱られたり友達に笑われたりして、それでこりれば自分でやるだろう」と言う人もいます。
これも、大人による上から目線の理屈としてよく言われることです。
でも、実際はそうはなりません。

先生に叱られたり友達に笑われたりということが続けば、自分に自信をなくしたり卑屈になったりするだけです。
また、そういう自分にあたたかい手を差し伸べてくれない親に対しても、不信感を持つようになるのです。

私が知っている親でも、こういう自業自得方式の考え方をする人は何人かいました。
でも、こういうやり方で、しっかりできなかった子がしっかりできるようになったという例は、一度も見たことがありません。
それどころか、子どもたちは、みんな心のどこかにさみしさがあるように感じられました。

百歩譲って、こういうやり方でしっかりできるようになることがあったとしても、別の問題が生じることになるのです。
その子は、「親なんか当てにできない。他人なんか頼りにならない。自分は一人だ」と感じるようになるでしょう。
そして、それは、その子の人生観や人間観の土台になっていきます。
ほんの一部分で成功しても、全体としては大きなマイナスです。

もちろん、時には、親が手を出さず子どもにやらせることが必要な場合もあります。
でも、それも、既に親のある程度の手助けがあったうえで、もうできるだろうという見とおしがある時です。
しかも、しっかり親が見守っていて適切な声かけをすることが大切です。




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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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