過保護だと言われます【前編】

 

子どもの教育やしつけに関して周囲から過保護だと言われます。日中は仕事をしていますが、家に帰ってからは子どもの塾や習い事の送迎、宿題を見たり遊び相手になったりで忙しい毎日です。学校のPTA活動や地域の児童クラブなどの行事にも積極的に参加しています。父親は忙しいし両親とも同居ではないので、子どものことはほぼ一人でこなしており、子どもも私にべったりという状態で、家族や友人にも手をかけすぎていると指摘されます。私が心配性なところからもそう評価されるようです。「このままでは子どもが自立できないのでは?」「うまく子離れできないのでは?」「子育て後に燃え尽き症候群になるのでは?」と思う時があります。でも今が子どもに手をかけてやる大切な時だとも思います。子どもとの距離をうまくとって見守る心がけはありますか?(ゆうはは さん)

 

【親野先生のアドバイス】

ゆうははさん、拝読いたしました。
ずばり言って、まったく心配いりません。
世間では、「過保護はよくない」「甘やかしはよくない」「親が手をかけると子どもの自立が遅れる」などということが、しきりに言われています。
それで、子育て中の方々の多くが、ゆうははさんのような不安を感じさせられています。

それによって、思う存分かわいがったり、甘えさせたり、手をかけたりすることができなくなっている例が多いのです。
親としての素直な愛情表現ができなくなってしまっている例が多いのです。
これは非常にまずいことです。
本当は、もっとかわいがったり、甘えさせたり、手をかけたりしてやったほうがいい場合がほとんどなのです。
そして、そのほうがかえって、子どもはうまく自立できるのです。

そもそも子どもというものは、たっぷりかわいがってもらって、十分手をかけてもらって、たくさん甘えさせてもらって育つべきものなのです。
そういう心地よい安らぎの時間のなかで、自分の存在が歓迎され愛されていることを実感するのです。
同時に、親に対する、そして自分を取り巻く周囲いっさいに対する信頼感を育むことができるのです。
人を思いやる心、人のために何かをしたいという気持ち、これらもすべてそこから育まれるのです。

たとえば、子どもが風邪を引いて寝ていたとします。
親が薬や温かい飲み物を持ってきて、優しく飲ませてくれます。
熱があれば水枕をつくってくれ、寒ければ布団を増やしたり湯たんぽを入れたりしてくれます。
せきが出れば背中をさすってくれ、足がだるいと言えばもんでくれます。

子どもは、うれしくてありがたくて、心があたたかくなります。
こういう思いやりを受けた子は、それを忘れません。
出来事の記憶としては薄れていっても、心の奥のもっと深いところでその記憶は脈々と続くのです。
そして、いつか誰かが苦しんでいる時、その子はあたたかい手を差し伸べるようになるのです。

子どもの宿題を見てやるのも同じです。
宿題をやっていなければなんとかやらせ、書き取りでしっかり書けている字をほめ、間違っている字は直させ、計算があっていればほめながら丸をつけてやり、わからないところがあれば教えてやる。

こういうことは、とても大事です。
忙しい親でも、一日5分あればできることです。
何も宿題をやる間中ついていなくても、必ず一度は目をとおしてできるだけほめる、ということでいいのです。
ほめることを基本としつつ、このようなコミュニケーションを取りながらの勉強を進めることが大事です。

これによって、子どもは「勉強=楽しい」という認識を持つようになります。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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