降園後、年少の子が家で荒れて困ります【後編】[教えて!親野先生]

それと、もしかしたら、激しくぶつかることでストレスを発散しているのかもしれません。
もしそうなら、この場合も、できるだけ受け止めてやってほしいと思います。
ストレスを発散させてやらないと、それは別のところで出てしまいますから。

一つ書き忘れましたが、「習い事や延長保育も嫌がる」というのもヒントになるかもしれません。
「もう子ども同士でいるのはたくさんだから、家でお母さんと楽しく過ごしたい」「自分のことをたっぷりかまってもらいたい」という気持ちの表れかもしれません。

私は、ここまで、「近所に気軽に遊べる友達もおらず、それが寂しいのかもしれませんが」という仮説とは反対のことを書いてきました。
でも、これもまた仮説に過ぎません。
ねいこさんが判断する時のヒントということで、ご理解ください。

もしかしたら、ねいこさんの仮説が的を射ているかもしれません。
その場合、「近所に気軽に遊べる友達」を探すのも有効ということになります。
同じ幼稚園の子でなくてもいいので、公園や散歩途中などに親子連れに積極的に声をかけて友達ハンティングするのもいいでしょう。
または、同じ幼稚園の子の親御さんと相談のうえ、降園後に一緒に遊べるようにしてやるのもいいでしょう。
つまり、車で送り迎えをして双方の家で交代に遊べるようにするわけです。
これは、実際にやっている方々も多いようです。

また、子育てサロンを利用するのもいいでしょう。
これらの中には、親は親同士でおしゃべりができて子どもは子ども同士で遊べるというところもあります。
最近少しずつ増えているようなので、調べてみるのもいいでしょう。
こういうところなら、親も子どもも楽しく過ごせてストレスも発散できます。

そして、二つの仮説のうちどちらであろうとも、子育てを一人で抱え込まないことは絶対に必要です。
ですから、お母さんだけで対応するのではなく、お父さん・おじいちゃん・おばあちゃんたちにも助っ人になってもらってください。
ママ達・友達・行政や民間のサービスなども大いに利用してください。
誰かに愚痴を聞いてもらうだけでも気持ちが晴れます。
とにかく、お母さんがストレスをため込んでいるとろくなことはありません。
それが子どもに向けられる可能性が非常に高いからです。

最後に注意点を一つ。
テレビ・DVD・ゲームに子守をさせるという形にしないことが大切です。
親子で煮詰まっている場合、テレビやDVDをつけっぱなしにして見続けさせたり、ゲームをやらせっぱなしにさせたりということになることも多いようです。
というのも、少なくともこの間は親を煩わせることがないからです。
でも、これらに子守をさせることは、子どもにとっては大きなマイナスです。

ゲームのやり過ぎは、創造的な遊び時間の減少、ストレス蓄積、視力の低下、体力の低下、外遊びの減少、人との触れ合いやコミュニケーションの不足などを引き起こします。

テレビやDVDのつけっぱなしと見過ぎについては、2004(平成16)年に「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会」がたいへん貴重な研究結果を発表しています。
それによりますと、2歳以下の子どもがテレビやビデオの垂れ流しの中にいると、「言葉が遅れる」「表情が乏しくなる」「親と視線を合わせなくなる」などのリスクが高まるとのことです。
テレビは、一方的に大量の音声と映像を浴びせかけるだけで、双方向的な関係を持つことができないのが最大の理由のようです。
同研究は、2歳以下の子どもに限定しての厳密かつ科学的な研究です。
ですから、研究結果の報告においても「2歳以下の子ども」と限定していますが、私たちは「それ以上の子どもにも当然当てはまる」と考えて対応すべきだと思います。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
ねいこさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。



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Benesse教育情報サイトの人気コンテンツ「教えて!親野先生」が一冊の本になりました。子育ての悩みは多様に見えて、実は意外と似ているものです。『親力革命』のなかに、今のあなたの、または将来の悩みを解決するヒントが隠されているかもしれません。



プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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