そろそろ親子別々に寝たほうが・・・・・・[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学3年生の息子はいまだに親子で一緒に寝たがります。少し前までは部屋数の関係で私と息子が必然的に一緒に寝ていました。最近は自分の部屋もできて喜んでいたのですが、寝るときは以前のままです。そろそろ別々に……と思うのですが「一緒がいい」と言います。これからどのように促したらよいでしょうか。(スマイル41さん)

 

【親野先生のアドバイス】

スマイル41さん、拝読いたしました。

部屋数の関係で親子が一緒に寝ていたとのことで、すばらしいことです。これからも、ぜひ、子どもが一緒に寝たいという間は一緒に寝てやってください。

子どもにとって、夜ほど怖いものはありません。何十年も生きてきた大人にとっても夜の闇は怖いのですから、子どもにとってはなおさらです。夜は得体の知れない世界であり、慣れ親しんでいるはずの自分の家であっても全く別物に思えてしまうのです。

夜を一人で過ごすことは、子どもにとって大人が思う以上に不安なことです。たとえ無理にがんばって一人で寝ていたとしても、一晩中、子どもは不安を抱えたまま過ごすことになります。眠っている間も、その不安は続いているのです。そして、その不安はその子の心に深く根付きます。

そして、その不安はいろいろな形で出てくることになります。それは、自分を取り巻く世界全体への不安につながります。気持ちの根底に、世界全体への不安をもつことになるのです。それは、その後の人生観や生き方や対人関係に大きな影響を与えることになります。さらに、子どもは自分を安心させてくれない親への不満も感じてしまいます。そして、大きな不安から守ってもらえない自分という存在に対しても、価値のないものと思うようになるのです。

ご相談のお子さんは、小学3年生とのことです。まだまだ一緒に寝てやってください。高学年や中学生になっても、一緒に寝ていていいのです。まったく何の問題もありません。子どもが十分満足するまで一緒に寝ていればいいのです。人の成長スピードは百人百様なのです。

でも、どうして親は早く一人で寝かせたいと思うのでしょうか? それは、自立ということを考えるからです。いつまでも一緒に寝ていては自立できない子になってしまうのでは? 親離れできないのでは? 甘やかしすぎと言われるのでは? 他の子に比べて遅すぎるのでは? 親は必ずこのような心配をしますし、そういうことを言う指導的立場の人もいます。でも、そんな心配はまったくないのです。なぜなら、熟した柿は自然に落ちるという自然の根本法則がここでも当てはまるからです。

不安な気持ちをたっぷり受け止めてもらい、甘えたい気持ちをたっぷり満たされ、自分の発達課題を完全にこなすことができたら、もうそれとはおさらばです。その子のなかでそれは終わるのです。もうなんの未練もありません。やせ我慢して、自分をごまかして「もういらないよ」と言っているのではありません。 本当にもういらなくなったのです。ですから、何年もして形を変えて出てくるということもないのです。

無理に自立させようとすると、かえってうまくいきません。そのときは自立したように見えても、あとで形を変えて出てきます。たっぷりおっぱいを吸えなかった子がタバコを吸うようになる、というフロイトの説をここでも思いだす必要があるのです。中途半端に終わったものは、あとで必ずやりたくなるのです。

ところで、ここには一つのパラドックスがあります。覚えやすいように標語的に言えば次のようになります。

無理に自立させると自立できなくなる
無理に自立させないと自然に自立する
自立させたかったら無理に自立させるな

子育てや、自立の問題に限らず、このようなパラドックスは人生のいろいろなところに登場します。人生とはまことに不可解です。でも、だからこそ面白いともいえます。スマイル41さんの場合、部屋数が少なかったので一緒に寝ていたとのことです。 部屋数が少ないことが幸いしたと言えなくもありません。人生、何が幸いするかわかりませんね。

どうか、これからも一緒に寝てやってください。そして、それを親子の至福の時間として十分楽しみ味わってください。そうすれば自立は自然にやってきます。熟した柿は自然に落ちます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。スマイル41さん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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