小学3年生の娘の書く字があまりにも汚いので困っています【後編】[教えて!親野先生]

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小学3年生の娘の書く字があまりにも汚いので困っています。ただ汚いだけでなく、日本語にすらなっていないことも多く、「アメリカ」が「アめりカ」という具合に途中からカタカナとひらがなが入り乱れます……。口を酸っぱくして言っても直りません。どうしたら丁寧に書くようになるのか、アドバイスをお願いいたします。(ひなこもちさん)

 

【親野先生のアドバイス】

お子さまが、字を丁寧に書くようにするには、具体的にはどのようなことをすればいいのでしょうか。

その子が字を丁寧に書いたときにおおいにほめてやってください。そして、それを写真に撮ってやってください。その字を書いた紙を持って嬉しそうに笑っているその子の顔を撮ってやるのです。そして、それを額に入れていつも目につくところに貼っておくことをお勧めします。

または、その紙をそのまま額に入れて貼ってやってもいいのです。こうしておくと、自分も丁寧に書けるのだという自己イメージを育ててやることができます。またあの時のようにしっかり書こう、という気持ちになるかもしれません。

また、姿勢よく書くためには、背筋と腹筋の筋肉が大切です。そこで、毎日背筋や腹筋を鍛える運動を親子でやることをお勧めします。これは、親のダイエットにもなります。

食事が不規則で栄養が偏っていると、落ち着きがなくなるということもあります。特に、カルシウムが不足するとイライラすると言われています。そういう状態では、字も当然そうなります。ですから、栄養にも注意が必要です。

字を書くのが苦手な子には、字を書くための指の筋肉がうまく動かない子もいます。字を書く前に、「グルグル書き」「8の字書き」などのウオーミングアップをするといいと思います。このやり方も、書写の教科書に載っているので参考にしてください。

書写の教科書のお手本を元に、まず、ひらがなの正しい字形を覚えさせるのもいいでしょう。字形を知っているのと、いないのとではやはり違いがありますから。

「最初の一行だけでも今までで最高の字で書いてごらん」と言ってやるのも効果があります。というのも、最初の字を丁寧に書くといきなり雑にするのもはばかられるからです。

ノートを使わないで、ルーズリーフ式に1枚ずつ与えるのもいいかもしれません。誰でも新しいノートの1ページ目はとても丁寧に書きますよね。ルーズリーフ式に1枚ずつ与えて書かせると、毎回新鮮なのでけっこう丁寧に書くようになるのです。

たとえば、書き取りをしたノートを見てやるとき、比較的うまい字を見つけてやってください。そして、その字に花丸をつけて、ほめてやってください。「この字はうまいね。この縦の線がきれいだよ」などと、言ってやるのです。5個でも10個でもいいですから、できるだけたくさん見つけてほめてやってください。

そして、あまりにひどい字があったら書き直させるのもいいでしょう。そのとき、全部などと言わないほうが賢明です。せいぜい5、6個にしておくことです。「全部書き直しなさい」などと言うと、言われたほうも言ったほうもとても嫌な気持ちになることは確実です。

それをきっかけに親のガミガミが始まるのも、また、100パーセント確実です。

できるだけほめることを多くすることです。「だんだんうまくなってきたね」「この『海』という字の形がいいね」このようなことに心がけて言ってください。ただし、その際効果を期待し過ぎないでいることがもっとも大切です。

最初に言ったように、直すのははっきり言ってかなり難しいということを頭に入れながらやってください。それでも、淡々とやるべきことをやり続けるのが親の務めです。そうしているうちに、ほんの少しでも効果があれば幸運なのです。

何も効果がないといって、それについて叱りつけたりガミガミと言っても百害あって一利なしです。何も効果がないときは、もう目をつぶることです。目をつぶる決意をしてください。子育てでは、ときに目をつぶる決意も必要です。

でも、ただ目をつぶるのではありません。どうしても直らないことには目をつぶる代わりに、その子の得意な面をおおいに伸ばす決意をするのです。

字が雑でもお話がうまいかもしれません(こういう子はけっこういます)。あるいは、何かを作るのがうまい、運動が得意、人を笑わせるのがうまい、読書が好きなどなど、何でもいいのです。何かその子が好きなことや得意なことを見つけてやってください。

特に人に比べて優れているなどというものでなくても、ただそれが好きという程度でもいいのです。それを見つけだして、おおいにほめてやって自信をつけてやってください。そして、それがもっと好きで得意になるように手助けをしてやってください。

そうすれば、毎日を生き生きと自信をもって生きていけます。当然、自己イメージが良くなります。すると、ますますいろいろな面が良くなっていきます。字が雑などということも、その子のなかで目立たなくなっていきます。

その子のいいところが一番前にでてきて、生き生きしてピカピカに輝いてくれば、字が雑だとか何だとかいうところは、そのまぶしい光のなかで目立たなくなります。

ぜひ、こっちの道で進んでください。


私ができる範囲で、せいいっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。ひなこもちさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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