親子で取り組む初めてのケータイ生活[インタビュー編]

ひと昔前には子どもが自分のケータイを持つなんて考えられなかったことですが、今では高校生でケータイを持っていることはすでにアタリマエのことになっています。
ベネッセ教育研究開発センターが実施した「第1回子ども生活実態基本調査」によると、大都市では高校生で94%、中学生で63%が自分のケータイを持っていると回答しています。小学生では30%とまだ比較的少ないですが、初めてケータイを持つ年齢の低年齢化は今後さらに進むものと思われます。

「大人のもの」として思われてきたケータイが子どもの手に渡るにつれて、いろいろな問題が取り沙汰されるようになってきました。最近になって、子どものためのケータイもいくつか登場してきてはいますが、ハードだけの対応で問題が解決できるとはとても思えません。初めてケータイを手にする子どもたちには、ケータイの正しい使い方を教えてあげる先生が必要だと思います。しかし、子どものケータイ保有率がいくら上がってきたとはいえ、多くの学校ではケータイを学校に持ち込むことさえ禁止しているのが実情です。一部の学校ではケータイのマナーや基本的なルールを教える時間を設けているところもあるようですが、それだけでは十分とは言えません。やはり、子どもの一番身近な存在である保護者の方がケータイの先生になるべきではないでしょうか。

しかし、子どもにケータイのことを教えるにしても、きちんとした教科書があるわけでもなく、何から教えていけばいいのかもわからないという方も少なくないのではないでしょうか。

今年度、BEATでは、小学6年生のお子さまをもつ保護者の方に各2台ずつケータイを貸与し、約4ヶ月間に渡って実際に38組の親子に携帯電話を使ってもらいました。
今回は、ご協力いただいた保護者の方へのインタビューから、初めてのケータイ生活に親子でどう取り組んでいけばいいのかを考えてみました。

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今回ご紹介するUさん(都内在住、小学6年生のお母さま)の場合は、とてもよい形でお子さまとのケータイ生活を過ごすことができたようです。家族構成や住んでいる場所、お子さまの年齢などの違いで各家庭によってさまざまなケータイ生活があると思いますが、これからお子さまにケータイを持たせようと思っているお母さまへの参考の一つとして、ご紹介したいと思います。
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Q.お母さまはケータイをお持ちでなかったそうですが、それはなぜですか?

「父親の仕事の都合で3年前まで6年間、アメリカに住んでいたのですが、その当時は周りのお母さんも一部しかケータイを持っていなかったので、特に持とうとは思いませんでした。でも、日本に帰って来たときにすごく驚いたのが、みんなが電車の中でうつむいてケータイを使っていたことです。街中でもみんなケータイを使いながら歩いているので、こちらは普通に歩いていてもケータイを使っている人とぶつかったりして、家族全員が腹を立てていました。なので、最初はケータイに対するイメージがとても悪かったです。それだけが理由というわけではないのですが、今までケータイを持っていませんでした」

Uさん一家が帰国した2003年には、日本では携帯電話の世帯普及率がすでに90%を超えていました。さらに、1999年に開始されたNTTドコモのi-modeサービスの効果で、その当時では世界に類を見ないほどケータイメール文化が広まっていたのです。アメリカから帰国したUさん一家には、それがとても異常に見えたそうです。
今ではアタリマエの光景ですが、アタリマエのことも、もう一度本当にそれが正しい姿なのか、子どもにケータイを持たせる前に一度考え直してみる必要がありそうです。

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Q.ケータイの操作はすぐに慣れましたか?

「最初は慣れるために、一生懸命、いろいろな機能を試しました。また、子どもと一緒に操作をして、『こういうことができるんだよ』というふうにお互いに教え合いました」

最近の子どもは生まれたときからさまざまな電子機器に囲まれて育ってきたせいか、そのような機器もすぐに使いこなせます。反面、その親の世代はなかなか操作に慣れるのが大変なようです。でも、自分が使いこなせないようでは、正しいケータイの利用方法を子どもに教えることは無理でしょうし、子どもが間違った使い方をしていてもそれを把握することさえ難しいかもしれません。
「子どもにケータイを渡したけれど、私は最近のケータイのことよくわからないから……」と、ほったらかしにしていませんか? ケータイの操作に自信がもてない方は、Uさんのように、最初は子どもと一緒にケータイの使い方を学んでみてはいかがでしょうか。
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Q.ケータイを持たせるにあたって、心配なことはありましたか?

「いろいろな制限機能がついているということだったので特に心配はありませんでしたし、実際に何も問題ありませんでした。ただ、うちの子どもに限っていえば、ケータイを使う時間のケジメをつけられるか心配でした」

Q.ケータイを持って、困ったことはありましたか?

「私は特にないです。子どもの場合は、やっぱり、うちの子どもだけの問題かもしれませんけど、ケータイを使う時間のケジメをつけることができないことですね。ほかにやることがあるでしょっという感じで……」

Q.お子さまが携帯電話を利用するときの「決まり」はありましたか?

「ケジメがなかなかつけられないという心配があったので、寝る前に15分だけなど使っていい時間を決めました。あと、友達からメールが届いたときもそれに返事を返して、またその返事が来て、というふうにずっとメールが続いてしまうので、どこかいいところで切りなさいと言っていました。それと、携帯電話の充電器をリビングに置いて、そこでケータイを使わせました」

Q.お子さまの携帯電話の利用状況を把握されていましたか?

「目の届くところで使わせていたので、大体把握していました。それと、子どもには『お母さんがケータイを見ることがあるかもしれないよ』と言ってありました。
実際に見ることはなかったのですが、子どもから『こういうメールが来たよ』と見せてもらったりしてました」

Q.お子さまの携帯電話の暗証番号を管理していましたか?

「はい。子どもには『ほかの子はみんな暗証番号を知っているんだよ』と言われましたが、絶対に教えませんでした。暗証番号が必要なときはそのときだけ私が入力してあげていました」

お子さまにケータイを持たせるにあたって、保護者の方が一番心配されることは子どもが出会い系のサイトなどで知らない人と連絡をとったり、フィッシング詐欺や架空請求などの犯罪に巻き込まれたりすることではないでしょうか。今回、貸し出したケータイはそのようなことが起こらないように各種制限機能をつけてありましたが、それらの機能は現在市販されているケータイには大抵ついていますし、最新の子ども向けケータイであれば、さらに充実した機能が付いています。それでも、Uさんのように機能では解決できない心配もあります。そのような心配はお子さまとよく話し合って、各家庭ごとの「決まり」を作ることで解決しましょう。

また、「決まり」を守れているかどうか、おうちの方が把握することも大事です。Uさんの場合、おうちのなかではお母さまの目の届く範囲でケータイを使わせるということで、しっかりお子さまの利用状況を把握できていたようです。もう一つ大事なことは、お子さまの携帯電話の暗証番号をおうちの方がしっかり管理することです。せっかく制限機能がついていても、子どもにそれを解除されてしまっては元も子もありません。最新のケータイでは、保護者用と子ども用の暗証番号を個別に設定できるものもあるようです。

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Q.ケータイを持って、よいと思われたことは何ですか?

「一番はどこでも連絡が取れることです。外で電話をかけるときは公衆電話からかけていたのですけど、今は街中で公衆電話がなかなか見つからないので……。
それと、学校からの連絡などがいつでも受け取れるのがよいです、学校の保健室から子どもが熱を出したなどの連絡が入ることもありますので。あと、お店で子どもから頼まれたものがどれだかわからないときに、テレビ電話で子どもに確認してもらったりしました」

ケータイが普及する前は、外で連絡をする手段といったら公衆電話しかなかったと思います。その公衆電話もケータイの普及の影響で、1990年には83万台以上あったものが、2004年には44万台まで減っています。そういった意味でもケータイはもはや必需品といってもおかしくないくらいの存在になってきているかもしれません。また、子どもの非常時に連絡をいつでもどこでも受けられるというのは、ケータイの大きなメリットです。それに加えて、テレビ電話やケータイで利用できる乗換え案内や天気予報などの情報サービスは非常に便利な機能です。ケータイのすべての部分がよいとは言えませんが、その特性やメリットを理解して、ケータイをうまく使いこなしましょう。

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Q.お子さまに携帯を持たせるとしたら、いつごろが適切だと思いますか?

「最初は大学生と思っていました。ただ、高三の長女にプリペイドケータイを持たせているんですけど、部活の連絡とかがケータイのメールで来たりするので、メールが使えないプリペイドケータイでは不自由しているみたいです。時代の流れというか、3年後には必要になるかもしれないと思って、今は高校生になったら持たせてもいいかと思っています。ただ、いろいろ心が揺れています」

Uさん親子は大変よい形でケータイ生活を送ることができましたが、この春に中学生になるお子さまには携帯を持たせないそうです。ただ、お子さまが本当に必要になったと、自らUさんにその理由を説明できたときには持たせていいと思っているそうです。何歳からケータイを持てばいいのかは一概には言えません。ただ、周りが持っているからと安易に持たせるのではなく、なぜ必要なのか、本当に必要なのかをよくお子さまと話しあってからケータイを持たせるようにしましょう。

今回ご紹介したUさん親子の例は大変よい例でしたが、最初に述べたように、各家庭の状況によってさまざまなケータイ生活があると思います。たとえば、おうちの方が皆お勤めに出ている場合など、お子さまとの時間をUさんほど取れないかもしれません。
次回からはそんな方にも役に立つ、便利な機能やサービスをご紹介していきたいと思います。




BEAT(東京大学大学院情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座)
コーディネータ 秋山大志

プロフィール

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