2006年度大学入試真っ只中
大学入試センターは、1月21,22日に実施した2006年度センター試験の最終結果を2月8日に発表しました。18歳人口の減少を受けて、追試験・再試験を含めた総受験者数は50万6,459人で、3年連続減少しています。一方で特定大学、特定学部への人気が偏るなど、狭き門になった学部に挑戦する受験生もいます。
大学全入時代直前期の入試
少子化に伴う大学入試の競争緩和は年を追うごとに進行し、文部科学省によると07年度は大学入学定員と志願者の数が計算上ほぼ同数となる、いわゆる競争のない「大学全入時代」のスタートになります。
その「大学全入時代」を目前に控えた今回(06年度)はどんな入試になるのでしょう。
1月に実施された大学入試センター試験の志願者は55万1,382人でした。この志願者に対する「受験率」(実際に受験した割合)は91.6%でした。
一方、国公立大学の個別学力試験(二次試験)の志願倍率は、文部科学省の2月7日の発表によると、倍率は4.7倍で、前年度受け付け最終日の午後3時時点の4.8倍を0.1ポイント下回っています。
現在、国公立大学は全国で154校535学部あります。その総定員数は、計10万1,046人になります。
例えば、国公立大学ではこの約10万人の定員を巡っての入試が展開されるわけですが、出願者が確定した後の最終的な倍率は若干上がるでしょう。
志願倍率と受験倍率は違う
さて、少子化なのにまだまだ国公立大学の入試には、こんなにも多くの受験生が殺到するのか……? 4.8倍ということは、5人に1人強しか合格できないハイレベルな入試なのか? ……いえいえ、そうとも限りません。
実は、この時期の志願倍率と、実際の入試本番の受験倍率は異なることが多いのです。
その謎を解く鍵は、入試当日における「欠席率」です。
例えば、2005年度入試の前期、後期の欠席率がどれくらいか、ご存じですか?
2月25日を中心に実施される前期日程では、国立大4.8%、公立大8.5%、国公立大合計では5.5%の欠席率に対し、3月8日を中心に実施される後期日程では、国立大49.8%、公立大50.8%、国公立大合計では49.9%、つまり志願者に対して約半数もの欠席があるのです。
新聞などでこの時期公表される志願倍率は、あくまで受験意志を持ち願書を出した人たちを分子に、定員を分母とした倍率です。一方受験(実質)倍率は、受験した人たちを分子に、合格者数を分母とする倍率ということになります。
つまり、一度決めたら最後までやり通す。第一志望大の前期試験で失敗しても、やりぬくことで受験倍率の低下した後期試験では、第一志望大にめでたく合格できた、などという話はよく聞きます。最後まであきらめないことが、国公立大学の入試でも重要なことです。
大学入試センター試験の模様
2006年度のセンター試験結果の特徴は、英語にリスニングテストが初めて導入されたことです。このリスニングテストは、英語受験者のほぼ全員が受験しました。実はリスニングテストの点数を合否判定に用いるかどうかは各大学の判断に委ねられていますが、約9割の国公立大がリスニングテストの成績利用を表明しています。国公立大をめざすのであればリスニングの対策が今後も必要になります。受験者の平均点は予想以上に高く、上位では満点近い受験生が多く、全体の平均得点率も7割を超えていたようです。センター試験に、リスニングテスト導入の初年度ということで、試行テストなども先立って実施されたのですが、その際と同数の出題と、回答形式でした。
他に、2年前より受験科目に5教科7科目を課す国公立大が増えて、受験生にとっては多くの科目を高校段階でしっかり勉強しなければならなくなりました。一方で、ベネッセと駿台予備学校で実施しているセンター試験後の自己採点の集計結果(約39.7万人)によると、5教科の総合得点(900点満点)の平均点は621.6点で、対昨年度で約30点アップしています。文系、理系ともに昨年より少し平均点が上昇し、受験生にとってはやや取り組みやすい入試になったようです。
(参考:2006年度 大学入試センター試験 各教科平均点最終集計)
この大学入試センター試験は、いまや国公立大だけでなく、私立大、私立短大も利用し、センター試験受験者を対象とした入試選抜も実施しています。
06年度では、全国の440大学(私立大の約75%)、132短大(公立短大含む)が利用するなど、その数は年々増加してきました。いまや、センター試験を受験することで、多くの進学先の選択肢が生まれるともいえるわけです。
いま人気の学部はどこ? 私立大学入試の動向は?
いま人気が集まっている学部はどこなのでしょう。今年度は教員養成系の学部、経済・経営・商学系、さらに看護・保健系の学部に受験生の人気が集まりました。逆に法学系は法科大学院開設に伴って学部定員が削減され、法学人気と相まって狭き門になっていましたが、その反動からか志願者が大幅に減少しています。
全体を見渡すと、学部系統別人気のキーワードはやはり「資格・実学志向」です。
やや持ち直したとはいえ、厳しい就職状況を知っている受験生は、就職に有利だと思える学部を志望しているようです。また、医療系(医・歯・薬・看護・保健)、家政・生活科学系は、学部・学科の新設も多く、注目を集めているためか、国公立、私立を問わず高い人気です。女子は、栄養士・管理栄養士や児童・保育、住居、デザインなどの実学系の人気が高くなっています。
(国公立大の最終的な確定出願者数と確定倍率は2月21日に発表予定)
国公立大学の個別学力検査(二次試験)は3月まで続きます。受験生にとっては、もうひと踏ん張り! の季節です。
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