2005年を振り返る もっとも注目を集めたニュースは?

教育情報ブログ(旧・教育ニュースハイライト)がサイトオープンして以来、4月から約9ヶ月にわたり45の教育ニュースを取り上げ、レポートしてきました。年内の更新は今回が最終となり、次回は年明け後の予定です。そこで今回は、これまで取り上げられた記事の中で、もっとも皆さんに読まれたニュース記事を紹介しながら、今年1年間で起きた教育と社会をめぐる動きを、教育創造研究センター所長 高階 玲治先生にまとめていただきました。

【2005年4月〜12月の読者数(ページビュー)上位10タイトル】
 順位 タイトル

  1. 推計でニート85万人(04/01)
  2. 中高一貫校173校に〜42都道府県に拡大〜(06/09)
  3. 小・中・高校生の6割には「なりたい職業がある」(05/12)
  4. PISAでトップのフィンランドの教育(07/21)
  5. 中・高校生の7割が「もっと勉強しておけばよかった」と後悔(05/20)
  6. 子どもの食に関する指導の重要性(09/08)
  7. 家庭で勉強しない子どもの実態(07/14)
  8. 教員免許に更新制〜ただし現職は対象外に(08/18)
  9. 子どもの体力が低下〜生活改善への方策が必要(09/15)
  10. 30人学級は実現するか? 少人数化に向け研究協力者会議発足(05/26)

 ※ 記事を掲載してからの日数が長いほど読者数は増えるという傾向がありますから、
    実際の読者の関心度と順位が一致しているわけではありません。


ランキングからみる今年の注目トピック

●学力向上に向けて新たな論議が拡大

2004年12月、OECDによる国際学力比較調査(PISA)の結果が発表されましたが、わが国の数学リテラシーは前回調査(2000年)の1位から6位、国語の読解力は同じく8位から14位に転落しました。
テレビや新聞などでも取り上げられ、日本全体に衝撃を与えました。
一方、この調査でトップの成績を収めたのは、フィンランドでした。フィンランドの数学リテラシーは2位、国語読解力は1位と、前回から引き続き上位を占めています。
そのPISAで求められる学力とは、どんな力なのでしょう。この調査では、単に知識を求めるのではなく、提示された課題に対して自分の持っている知識や技能を働かせて問題解決を行い、さらにどう考えたかを説明できる能力が求められています。必要なのは、知識活用力や創造力、さらには実生活とのかかわりの中で考え、生かす力です。

また、PISAの学力調査は高校一年生(15歳児)を対象に3年ごとに行っています。その意味としては、義務教育段階までに身につけておかなければならない力を国際調査したことになります。
このPISA調査の結果を踏まえ、「学力向上」のあり方について、義務教育終了段階までに身につけたい知識・技能や能力、さらにはその後の生活や学習に生かせる力の獲得はどうあればよいか、について、中央教育審議会では次期学習指導要領改訂に向けて論議を行ってきました。審議経過を踏まえた「答申」を10月末に発表したのですが、教育課程をどう変えるかについては、まだ具体的な発表はされていません。

今年を振り返ってみると、2つのポイントがあります。ひとつは、単に漠然と「学力」をとらえるのではなく、小・中学生の当該学年の学力レベルを確実にマスターしたかどうかが問われるようになった(到達度)ことです。ふたつめは、PISAに代表される国際的な学力の標準を無視できなくなっているなかで、国際化への対応が強まるなど新しい教育の動きが始まった年と言えるでしょう。


●「学ぶ力」「生きる力」「体力」が衰退している

また、この1年は子どもの実態について多様な調査結果がみられました。
例えば、文部科学省は『義務教育に関する意識調査』(ベネッセが委嘱され実施)を6月に発表しましたが、その対象は小学生、中学生、保護者、校長・教員調査、学校評議員、都道府県及び市区町村教育長や首長対象という大掛かりなものでした。
このような調査は中央教育審議会などで教育政策を決定づける重要な資料とされていますが、特に関心を持ちたいのは、明らかになってきた子どもの「問題」です。

この調査には、子どもの学校以外における学習時間がありますが、「ほとんどしない」小学生は17%、中学生は43%となっています。また、ベネッセが行なった別の調査の結果では、「もっと勉強しておけばよかった」と後悔している小学生は5割、中学・高校生は7割以上です。子どもの「自ら学ぶ意欲」がかなり衰退し、「学びたいけれど学べない」子どもが増加していることを示しています。


●2005年・教育ニュースのキーワードは「自立」

体力についての調査でも20年前との比較で低下していることがわかりました。子どもを取り巻く生活環境が大きく変わり、スポーツや外遊びが減少しているとされています。また、夜更かしや朝食欠食などの傾向もみられ、バランスを欠いた食生活が問題視されています。

さらに、今年はニート(NEET)の存在が社会的にも大きくクローズアップされました。ニートは進学も、就職もしない、職業訓練もしない若者たちとされています。しかし、社会とのつながりを失っている若者への支援とともに、小・中学生についても将来ニートにならないための社会体験や職場体験を体系的に組み立て、家庭と学校双方のキャリア教育のあり方を真剣に考える必要があります。

全般的に、最近の子どもは「学ぶ意欲」や「生きる力」「体力」などが衰退しているのではないか、という指摘が多くなっています。こうした子どもたちの問題を考えると、子どもの成長にとって何が大切かを十分考えて、それぞれの年齢で大切なことはしっかり身につけるように教育環境を豊かにするのが大人の努めだと思います。

学ぶ意欲の減退、基礎学力不足などを改善するための「子どもの自立」、家庭や地域の教育力(しつけ、規範意識)の低下のなかで、学校への過度の依存から抜け出すための「家庭の自立」や「保護者の自立」、国の方針に任せきりではない、学校の裁量性や特色化への要請などの「学校の自立」——全体を通して、子どもを取り巻く教育環境、子どもの実態を鑑みると、大人も子どもも「自立」を求められはじめた一年だったのではないでしょうか。

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