「学びに向かう集団づくり」に取り組んだ・佐賀県多久市立中央中学校

社会における規律・規範を学ぶ基礎となる、学校における「集団活動」。特に「自発的に学びに向かう集団」を作るために全国でもさまざまな取り組みが進んでいます。今日は、教師自らが取り組み生徒たちに手本を見せ、生活習慣の基盤を固め、「学びに向かう集団づくり」に成功した、佐賀県多久市立中央中学校をご紹介しましょう。

教師間の連携からはじまる

まず同校がこのような状況を打破するために着手し始めたのは、「教師が規律・規範を守らせるために、生徒に何かを強要する」ということより先に、生徒一人ひとりの状況把握と、教師間の人間関係の構築でした。

「生徒をまとめ、向上させるには、まず先生から」(中川正博先生)という事でしょう。

その取り組みとは、中央中学校の教師35名全員を担当教科や学年・在籍年数などが偏らないように4つの班に分け、先生方が生徒の生活態度や学習態度で問題だと感じていることを挙げていくものでした。「なぜそうした問題が起きているのか」(現状分析)、「問題解決のためにはどのような手法が有効か」といったことを話し合い、問題解決に向けての目標設定と具体的な取り組みを、班ごとに優先順位を決めて実行に移していく、という取り組みでした。

このような「先生全員が平等な立場で話し合い、具体策を出していく」ことは、時間と手間のかかる作業であり、個々の生徒を抱える教師にとって負荷のかかる取り組みです。確かに当初は教師間に壁があったものの、取り組みが進み徐々に小さな成果が出始めたことによって、ばらばらの方向を向いて指導に当たっていた先生方が、学校内の問題意識を共有できるようになったといいます。

ベテランから新任教師まですべての先生が、生徒一人ひとりに目を向け問題を共有し、改善するためにさまざまな対策を考える。中央中学校では、この教師間の連携がうまく行き始めると「すべての先生が同じ姿勢・同じ言葉で生徒に接するようになった」ため、それを生徒たちが敏感に感じ取ったといいます。

「クラス担任でも教科担任でもない先生が話しかけてくれる」
「先生が話をよく聞いてくれるようになった」
「真剣に自分のことを考えてくれている」

こうした生徒たちの気持ちの変化は、先生と生徒との距離を一気に縮めただけでなく、今まで先生に向けられていたとげとげしい態度も、徐々に柔らかいものに変わっていったといいます。

生徒集団がまとまるために

教師同士の連携、教師と生徒との信頼関係を取り戻した中央中学校は、生徒たちの集団生活としての基盤も徐々に固まっていき、現在はその効果を「学びに向かう集団づくり」に生かそうとしています。つまり「集団行動ができるようになった生徒たちを伸ばすステップ」に移ったのです。

次のステップとは「生徒同士の集団づくりの力を高めること」。

これは、生徒自身が、自分は集団を構成する一員であるという自覚をもち、自分で考え決めていく場面をつくり、他人の存在を認め合い、一緒に高めあっていける関係性を作るということ。このように、「希薄な人間関係」「自己中心的な考え方」から、互いに相手を認め合い、自己を見つめなおす、というこうした集団生活に欠かせない根底の部分を、授業を通して身につけさせようと取り組んでいます。

先生方が密なコミュニケーションをとって生徒たちに見せた「集団の重要性」「学校の連帯感」。そんな先生たちを見て子どもたちがさらにどのような「集団づくり」をしていくのか、注目されます。

参考記事

この佐賀県多久市立中央中学校についてVIEW21[中学版]でくわしく紹介していますのでご覧ください。

事例(1):佐賀県多久市立中央中学校 授業を通して人間関係を強化し、集団をつくる力を養う

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