コーチングされることをうっとうしがる子どもへのアプローチ[やる気を引き出すコーチング]

子どもの自発性を引き出すためにコーチングを学びたいという方が、年々増えている昨今ですが、同時にこんなお声もよく耳にするようになりました。
「コーチングをしようと思って、私が質問を投げかけると、子どもに『また、お母さんの誘導尋問が始まった!』と言われてしまうんです」 「普通に質問しているだけなのに、『それ!コーチングしようとしてるでしょう?』と嫌がられます」

良かれと思って質問しているのに、抵抗されてしまうことが、思春期のお子さんにはよくあるようです。何か新手のテクニックによって、親の意のままにコントロールされるのでは?と思ってしまうのでしょう。子どもにうっとうしがられることなく、コーチングを実践するにはどうしたらよいのでしょうか?

■子どもに練習台になってもらう

Aさんは、中学3年生の娘さんに、こう伝えてみたそうです。
「お母さん、今、コーチングっていうのを勉強しているんだけど、ちょっと練習相手になってもらえないかな?宿題があって、それを◯◯ちゃんに手伝ってもらいたいんだけど」。
率直に「コーチングに付き合って!」というわけです。お子さんも、最初は、面倒だなという雰囲気でしたが、「練習に付き合って」、「宿題を手伝って」と言われると、悪い気がしないようです。

「それ何?どうすればいいの?」と言ってくれました。
「お母さんが質問するので、◯◯ちゃんは、それに答えてくれたらいいの。何を答えてくれてもいいから、好きなようにしゃべってね」
「わかった!」
「じゃあ、始めるね。◯◯ちゃんは、1年後、どうなっていたいですか?」
「え〜?何それ?・・・わかんないよ、そんなのいきなり言われても」
「そうか、そうだよね。いきなりはわからないかもしれないけど、ちょっと考えてみて」
「うーん、そうだなぁ、楽しい高校生活を送っていたいです」
「いいですね!楽しいって具体的にはどういう感じですか?」

こうして、娘さんは、自分の高校生活に思いを馳せつつ、いつの間にか、自分の進路について考える時間となったようです。お母さんの練習に付き合ってあげているつもりが、自分のコーチングの時間になっていたということです。
Aさんは、「ありがとう!おかげで練習ができて助かった。またよろしくね!」と伝えて、コーチングを終えました。
練習という設定で、「コーチングに付き合って」とストレートに言ってしまうアプローチはなかなか秀逸です。

■子どもに相談にのってもらう

中学校の先生をされているKさんは、高校生の娘さんに、こんな相談を持ちかけたそうです。
「うちの学年の生徒でね、なかなか進路決定ができなくて悩んでいる子がいるんだけど、こういう時は、どんなふうに相談にのってあげたらいいと思う?」
「うーん、まあ、そういう時もあるよね。私もそうだったし」
「そう、そういう時はどんなふうにしてもらったら嬉しいのかな?」
「話を聴いてあげるだけでいいんじゃないの?そうだなぁ、私だったら・・・」
と、お子さんの体験談や気持ちを聴いているうちに、Kさんは気がつきました。
「あれ?これって娘のコーチングにもなっているのかも?」

それ以来、折々に、相談にのってもらう形で、
「子どもが勉強にもっとやる気になるためには、何が必要だと思う?」
「幸せな大人になるためには、今、何をやっておいたらいいと思う?」
といった質問をしているそうです。
「自分の考えを答えなさい」という姿勢ではなく、「あなたの考えを教えてほしい」という姿勢で聴いてみると、自然とお子さんも考えられるようです。Kさんのアプローチ法も試してみたいですね。
とはいえ、「この方法で何が何でも答えを引き出してやる」といった操作の意図があっては、やはり抵抗されます。答えを強要しない姿勢で向き合うことが第一ではないでしょうか。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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